新型コロナで奈良県が貸し出した血中酸素濃度計、8259台が未返却

県が貸し出したパルスオキシメーター

 奈良県が新型コロナウイルスの陽性者に無料で貸し出していた、指先で血中酸素濃度を測る「パルスオキシメーター」のうち、8259台が未返却のままとなっている。新型コロナの5類移行とともに貸し出しは終了し、現在は希望する市町村や高齢者福祉施設、医療機関に配布しているといい、県の担当者は「なるべく早く返却をしてほしい」と呼びかけている。

【返却用封筒もつけていた】

 県は自宅療養中の症状の変化に気付けるようにと、2021年4月から自宅療養者全員に貸し出しを始めた。約6万台を購入し、延べ22万3600人に配布。健康観察終了後に返却するよう求め、返却用の封筒もつけていたが、8259台(奈良市は除く)が戻っていないという。

 県は独自の方針で重症化リスクの高い人だけでなく、陽性者全員に配布していたため、県健康推進課は「未返却数はほかの自治体より多いのではないか」と話す。

【奈良市でも660台未返却】

 自前で保健所を持つ奈良市も県と同時期から自宅療養者のうち、重症化リスクの高い人や高齢者に貸し出しを始めた。

 同市は約3700個を保有し、延べ約1万4000人に配布したが660台が未返却となっている。「忘れていた」「なくした」などが理由で、多くは電話の催促に応じて戻ってきたものの保有台数の2割弱が未返却のままだ。

 同機器の購入価格は1台あたり4000円から1万円を超えるものもあり、県や奈良市はホームページで返却を呼びかけている。

【「税金で購入したもの、なるべく早く返却を」】

 県健康推進課は「税金で購入したものなので、なるべく早く返却してほしい。返送用の封筒を無くした場合は担当課に連絡をもらえれば」と話していた。

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