新羅系か 土器片出土 茨城・結城廃寺跡 有力者関係の可能性

新羅系土器が発掘された結城廃寺跡の発掘調査現場=結城市上山川

茨城県結城市教育委員会は25日、同市矢畑・上山川の国指定史跡「結城廃寺跡」の本年度発掘調査で、「新羅(しらぎ)系土器」と推定される破片(長さ約2.6センチ、幅約2センチ)が出土したと発表した。担当者は「県内での出土は極めて珍しい。当時は手に入らない高級品だった」と説明した。同寺に財力のある有力者が関わっていた可能性が高いという。

破片は直径約13センチ、深さ約5センチの坏(つき)の口部分。奈良時代初頭のものと推定される。朝鮮半島由来の土器に類似し、日本の土器にあまり見られない二重の沈線文(ちんせんもん)がある。

結城廃寺跡は、奈良時代初めに建てられ、室町時代の中ごろまで約700年続いたとされる寺院跡。これまでの調査で南北約250メートル、東西約180メートル、面積約4万5千平方メートルの広大な敷地が判明し、瓦や粘土製の仏像「塼仏(せんぶつ)」など、畿内色の強い遺物が多数出土している。東日本への仏教伝播を考える上で重要な遺跡として、2002年に国指定史跡となった。

昨年度の調査では、鐘楼もしくは経蔵と考えられる建物跡を発見したが、今回はその対になる位置に新たな建物跡を発見。奈良県の法隆寺など、畿内の寺院に見られるような、鐘楼と経蔵が対称になる配置であった可能性が高いという。

調査を担当する国士舘大学考古学研究室と市教委は、27日の午前10時半からと午後1時半からの2回、一般向けに現地説明会を開く。問い合わせは市生涯学習課(電)0296(32)1931。

結城廃寺跡から出土した新羅系土器片

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