新型LMDh『アルピーヌA424』がシェイクダウン。テスト開始で実車の姿がいよいよ露わに

 2024年のWEC世界耐久選手権ハイパーカークラスに参戦を予定するアルピーヌは、8月下旬、新型LMDh車両『アルピーヌA424』のシェイクダウン走行と最初のテストを完了した。

 2022年シーズンまでLMP1ノンハイブリッド車両でハイパーカークラスに参戦していたアルピーヌ。2023年はLMP2クラスへと戦いの場を移しつつ、オレカのシャシーをベースとするLMDh規定の新型マシン開発期間にあてていた。

 2023年6月のル・マン24時間レース決勝前日には、プロトタイプ版の『アルピーヌA424_β』を公開していたが、今回のシェイクダウンとテストでは、いよいよ実車の姿が明らかとなった。公開された写真を見ると、ル・マンで展示されたモックアップとは、細部の造形も異なっている。

■大きな問題なく1000kmを走破

 8月上旬にごく低速での走行をニコラ・ラピエールが行ったのに続き、ラピエール、マシュー・バキシビエール、シャルル・ミレッシの3人が参加したこのプログラムは、8月23日月曜日、南仏のポール・リカール・サーキットに隣接するル・カステレ空港でのシェイクダウンから始まった。

ル・カステレ空港で行われたシェイクダウン走行の様子

 その後マシンは火曜日にサーキット走行を開始。彼らはここで、ギヤボックス、ブレーキ、冷却システム、そして3.4リッターの排気量を持つメカクローム製V6ターボエンジンなどのマシンの主要コンポーネンツの動作を確認していった。

 水曜日の遅い時間にさらなる走行を重ねた後、最終日となった木曜日には約30周を超えるスティントでテストが締め括られ、この木曜日だけで700kmを走破。今回のテストでの合計走行距離は1000kmを超えた。大きなトラブルには見舞われなかったという。

2023年8月下旬、ポール・リカールで最初のテストを行ったアルピーヌA424

「我々の歴史上初めて、このような大規模なプロジェクトに最初から関わる機会を得た」とチーム代表のフィリップ・シノーは語っている。

「A424が初めてサーキットを走るのを見るのは、本当に興奮した。このプロジェクトは、アルピーヌ・レーシングのチームと我々のチームが協力してアルピーヌA424の性能を最大限に引き出すという、チャレンジの連続でもある」

「最初の全体的な印象はかなりポジティブで、最初の周回から問題がなかったことで、かなり早くクルマを理解することができた。開発テストが進むにつれて、クルマに関する知識は深まっていくだろう」

「(2024シーズン開幕戦となる)カタールでの初レースまで、これからの6カ月は間違いなく厳しいものになるだろうが、チーム全員がこのチャレンジに挑む意欲を十二分に持っている」

 アルピーヌは今後、マシンのホモロゲーションとレースデビューに向けて準備を進めていくが、9月にはスペインのモーターランド・アラゴンでのテストが予定されている。

2023年8月下旬、ポール・リカールで最初のテストを行ったアルピーヌA424
テストに参加したマシュー・バキシビエール(左)とニコラ・ラピエール(中)

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