【感染症ニュース】新型コロナウイルス感染症が東日本を中心に41都道府県で増加!引き続き感染対策を

基本的な感染対策を今一度

厚生労働省が8月25日に発表した令和5年第33週(8/14~20)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」によると、全国の定点当たり報告数は17.84。前週から約3.7ポイントの増加となりました。都道府県別で見ると、岐阜と岩手で30ポイントを超え、青森、秋田、福島、茨城、千葉、石川、愛知で25ポイントを超えています。週あたり新規入院患者数は約1万3千人で、こちらも前週よりも増加しています。

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感染症に詳しい医師は・・・

感染症の専門医で、新型コロナウイルス感染症患者の診察にあたる大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「31、32週と2週連続して減少していましたので、8月前半にピークを迎えるかと思っていたのですが、33週で急増となりました。私が勤務している大阪でもやや増加しましたが、当院の入院患者数も減っているようには見えません。直ちに医療崩壊ということはありませんが、今後再び感染者が増えていくと、医療全体に影響があるかもしれません。今後の感染者数の動向にも、注意が必要です」と話しています。

新型コロナウイルス感染症はどのように感染するの?

新型コロナウイルスは感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ、会話などのときに排出されるウイルスを含む飛沫、またはエアロゾルと呼ばれる更に小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接的に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内の近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分であったり、混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。

発熱や咳などの症状がある場合は?

発熱や咳など体調に異変を感じたら、まず抗原定性検査キット(医療用または一般用検査キットとして国が承認したもの)でセルフチェックし、陽性の場合は、一定期間は外出を控えることが推奨されます。体調が悪化した時などは、自治体が設置する新型コロナ相談窓口まで速やかに相談してください。65歳以上の方や基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患など)がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方など重症化リスクを有している方、お子さんや妊娠している方などは、外来対応医療機関を受診してください。

他人にうつすリスクは?

新型コロナウイルス感染症では、鼻やのどからのウイルスの排出期間の長さに個人差がありますが、発症2日前から発症後7〜10日間は感染性のウイルスを排出していると言われています。発症後3日間は、感染性ウイルスの平均的な排出量が非常に多く、5日間経過後は大きく減少することから、特に発症後5日間が他人に感染させるリスクが高いことに注意してください。

家族が感染症にかかったらどうすれば?

家族や同居している方が新型コロナ感染症にかかったら、可能であれば部屋を分け、感染された家族の世話はできるだけ限られた方で行うことなどに注意して下さい。そのうえで、外出する場合は、新型コロナにかかった方の発症日を0日として、特に5日間は自身の体調に注意してください。7日目までは発症する可能性があります。

熱中症に注意しつつ、換気を忘れずに

まだまだ暑い日が続いていますが、新型コロナウイルス対策には、換気が重要です。熱中症の予防にエアコン等を使用する一方、窓開けや換気扇などで室内の空気の入れ替えを心がけてください。

今後の流行は?

安井医師は「新型コロナウイルス感染症は未だにわからないことが多く、過去3年間は、お盆の時期を過ぎたころから減少に向かっていましたが、今年も同じように減少していくかどうかはわかりません。まだまだ流行が続くことも考えられますので、引き続き感染対策を続けていただきたいと思います」と話しています。

引用

厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について令和5年第33週(8/14〜20)、新型コロナワクチンQ&A

取材

大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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