鉄道好きの絶景グルメ旅【2】只見線編 奥会津の田園風景と10個限定の姫ます寿司

鉄道好きで鉄道写真のために全国を回る写真家の伊藤宏美が、カメラを持って出かける「鉄道好きの絶景グルメ旅」。各地で見つけた絶景や絶品ローカルグルメなど、素敵な出会いを紹介します。今回は福島県・只見線の旅です。

沿線そのものが絶景地の只見線

奥会津に行く理由を「只見線が走っているから」と答える人も多いのではないでしょうか。只見線はローカル線の中でも、ファンが多く、足繁く通う人が多い路線です。移りゆく季節を感じられて、只見線沿線そのものが、全て絶景だからでしょう。雨の日も雪の日も、美しい風景が広がり、お天気をあまり気にせず、楽しみに出かけられる路線です。

高いところから見渡せるビューポイント

第1只見川橋梁の絶景

第1只見川橋梁は、只見線沿線を代表する絶景地で、四季折々の美しい風景を眺めることができます。特に川霧の中を列車が走って行く瞬間は、とても幻想的です。道の駅・尾瀬街道みしま宿から、遊歩道を10分ほど登ると、第一只見川橋梁を見下ろすことができるビューポイントに到着します。

霧に包まれる早朝に「今日は良いぞ」と期待しながら登っても、なかなかうまく行きません。列車が来る時間には、霧が晴れてしまうことがあるからです。一方、霧が濃すぎて、真っ白で何も見えないこともあります。同じ風景は2度と無く、何度も足を運んでしまうのです。

道の駅・尾瀬街道みしま宿

住所:福島県大沼郡三島町川井天屋原610

蓋沼森林公園から眺める会津盆地の田園風景

蓋沼森林公園の見晴らし台からは、会津盆地の田園風景を一望することができます。田んぼに水が入る時期には、広大な水鏡となり、稲が、緑色から黄金色へと変化していく景色が楽しめます。

初夏の水鏡が綺麗な時期に、蓋沼森林公園に行く途中で、豪雨に会ったことがありました。「せっかくの水鏡も、台無しになっちゃう!」と振り返ると、大きな虹が掛かっていました。虹の下を、列車が走ってきてくれた時は、うれくて大はしゃぎしました。

蓋沼森林公園

住所:福島県大沼郡会津美里町八木沢七窪6636

「霧幻峡の渡し」で只見線を眺める

只見川には、早戸駅付近の船着場から、川霧のかかる只見川を舟で渡る「霧幻峡の渡し」があり、観光として人気です。霧ではなく、列車の時刻に合わせて、乗せてもらったことがあります。いつもは遠くから眺めていた第三橋梁を、下から見上げながら列車を見送りました(2018年)。

霧幻峡の渡し

住所:福島県大沼郡三島町早戸

金山町に現れる、珍しい“赤かぼちゃ”

会津の民家は、赤や水色の屋根が特徴的です。只見川の畔にある、金山町の大志(おおし)集落も、そのひとつで、すぐ脇には只見線が走っています。いつ見ても美しい原風景です。

金山町では、お盆ころから、“赤かぼちゃ”が収穫され、販売されます。民家の軒下では“赤かぼちゃ”が並び、丁寧に糖度チェックしながら、ひとつずつ磨いているところを見かけます。

厳しい検査に合格した“赤かぼちゃ”には、シールが貼られます。先日は、値段をつけたばかりの“赤かぼちゃ”を、1時間並んで買うことができました。お尻に“おへそ”のある、オレンジ色の綺麗なかぼちゃです。皮が薄く、栗のように甘く、ほくほくでした。

柳津のおいしい「あわまんじゅう」と湧水

只見線沿線で必ず立ち寄るのが、会津柳津駅近くの小池菓子舗さんの「あわまんじゅう」です。できたての、ほかほかのうちに食べるのを楽しみにしていますが、冷めて落ち着いた頃に食べるのも美味です。桜の時期にはピンク色のあわまんじゅうも販売されます。

最近では、お店が改装され、おしゃれなカフェスペースになっていました。あわまんじゅうのほかに、コーヒーと“わらび餅”を注文してみたのですが、“わらび餅”が、とろける柔らかさで、驚きのおいしさでした。

小池菓子舗

住所:福島県河沼郡柳津町柳津岩坂町甲206

近くには「弘法大師の大清水」という湧水が湧いていて、あわまんじゅうを買った後で立ち寄ることにしています。

弘法大師が岩場をひと突きしたら湧いたといわれているそうです。夏の暑い日には、さらにおいしく感じます。

弘法大師の大清水

住所:福島県河沼郡柳津町柳津寺家町甲152

10個限定の「姫ます寿司」と「カンケベーカリー」のパン

豪雨災害で一部、不通区間があった只見線は、2022年10月1日に全線復旧し、11年振りに福島県の会津若松から新潟県の小出までがつながりました。

只見線に乗車する時は、必ず停車時間を利用して、途中下車したいのが会津川口駅です。お目当てが2つあり、1つは、会津川口の駅の売店で取り扱っている「姫ます寿司」です。土日限定10個なので、見つけた時はラッキーで、迷いもなく買うことにしています。おいしい分、少し足りなく思うのですが、包み紙も最高に可愛いのです。

2つ目は、駅前のパン屋「カンケベーカリー」さんに寄ることです。ケーキ屋さんのようなショーケースにパンが並んでおり、注文すると、おばあちゃんが取ってくれます。

おばあちゃんに、顔を覚えてもらいたくて、「こんにちは。今日は“ザブレ”(クッキー)ありますか?」と“お決まりの挨拶”をすることにしています。

毎回、ショーケースに並ぶパンは素朴なものが多く、下の段から順番に10個ほど買って帰ります。中でも、荒い粒の残るピーナツクリームの入ったパンが大好きです。

カンケベーカリー

住所:福島県大沼郡金山町川口森ノ上473-2

会津若松から小出駅まで運行する列車は、1日3往復ですが、東京からも日帰りで乗りに行くことができます。全線復旧で、さらに乗りごたえのある路線となった只見線。都会から離れて、のんびり景色を眺めながらする旅も、最高です。

[All photos by Hiromi Ito]

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