クマ捕獲上限最多796頭 2024年度、岩手県が被害増で引き上げ

 

 岩手県は2024年度、ツキノワグマの捕獲上限を過去最多の796頭に引き上げる。人身被害や市街地への出没が多発しており、23年度から110頭の大幅増とする。県内の推定個体数は3700頭と増加傾向で、安定的な個体数維持と被害防止の両立を図る。一方で、上限引き上げが捕獲実績につながらないケースもあり、実効性を高められるかが課題となる。

 23年度の捕獲上限は686頭で前年度より60頭増やしたが、さらに引き上げが必要と判断した。県によると、6月末までの出没件数は18年度以降最多の1349件。人身被害も18件(19日時点)に上り、過去最多のペースで推移する。

 今月9日には一戸町で80代女性がクマに襲われ、死亡した。県は5月にツキノワグマの人身被害が相次いでいるとして、県全域に出没に関する警報を7年ぶりに発令している。

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