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鞆の浦の名産品・保命酒(ほうめいしゅ)を知っていますか?
江戸時代の初期から鞆の浦でつくられている、歴史ある名産です。
そんな保命酒は、現在でも鞆の浦の地でつくり続けられています。
現在も鞆の浦にある4軒の保命酒醸造元のひとつが「入江豊三郎本店」。
昔ながらの製法でつくられる保命酒やみりんは、多くの人に愛されています。
さらに入江豊三郎本店は、保命酒を使った菓子や食品、飲み物なども幅広く販売。
多くの人に保命酒の存在を知ってもらえるよう、取り組んでいます。
保命酒の老舗醸造元・入江豊三郎本店のこだわりや歴史、商品の魅力などを紐解いていきましょう。
2023年(令和5年)時点の情報。 価格は消費税込
入江豊三郎本店は鞆の浦の伝統的名産品・保命酒の醸造元
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入江豊三郎本店は、福山市鞆町にある保命酒やみりんを醸造・販売する会社です。
創業は1886年(明治19年)で、130年以上の歴史があります。
保命酒は、江戸時代初期から鞆の地で醸造されている、歴史ある鞆の浦の名産品です。
十数種類の薬味をみりん酒に漬け込んだ薬味酒(リキュール)で、和風ハーブリキュールともいえます。
江戸時代当時は「十六味地黄保命酒」と呼ばれていました。
備後福山藩の保護のもと、北前船の停泊する鞆の名産として知られ、朝鮮通信使やペリーにもふるまわれたといわれています。
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江戸時代は保命酒を考案した中村家が専売を許されていましたが、明治時代になり専売制が廃止されると、鞆に十軒以上の多くの保命酒醸造元が生まれました。
現在は鞆の浦に4軒の保命酒醸造元が残っており、入江豊三郎本店はそのひとつです。
江戸時代に保命酒を醸造していた中村家は、製造法を一子相伝としていました。
一子相伝:自分の子ひとりだけに伝えること
そのため各醸造元が創意工夫をしたため、使用する薬味は醸造元によって違いがあります。
入江豊三郎本店の保命酒は16種類の薬味を使っており、いずれも植物性のものなのが特徴です。
しかも、昔ながらの製法でつくっています。
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また保命酒はみりん(味醂)酒がベースになっていることから、入江豊三郎本店みりん(味醂)も醸造しており好評。
製造時に出る副産物である酒粕や、甘酒なども人気です。
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さらに入江豊三郎本店は地元を中心とした企業とタッグチームを組み、保命酒や本みりんを使ったさまざまな商品も販売しています。
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たとえば、以下のようなものです。
- 保命酒のど飴
- 3年熟成の本みりんを使ったツユ
- 保命酒で香りづけしたラーメン
- 本みりんを使ったケーキ
- 保命酒を使ったゴマせんべい
- 保命酒を使ったジュレ
- 保命酒を使ったサイダー
- 保命酒や酒粕を使ったアイスクリーム
いずれも、保命酒も本みりんの濃厚な甘い風味を生かした商品です。
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なお入江豊三郎本店の商品は、一部をのぞいてオンラインショップでも買えます。
人気・おすすめの商品
たくさんある入江豊三郎本店の商品のなかから人気の商品、店のおすすめ商品を紹介します。
十六味保命酒
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入江豊三郎本店の主力商品である保命酒は、「十六味保命酒」の名で製造・販売されています。
十六味保命酒には、全部で16種類の薬味が漬けこまれています。
入江豊三郎本店の十六味保命酒のおもな薬味
- 高麗人参(コウライニンジン)
- 菊花(キクの花)
- 黄精(オウセイ:ナルコユリの根)
- 桂皮(ケイヒ:ケイの木や根の皮)
- 枸杞子(クコシ:クコの実)
- 甘草(カンゾウ)
- 丁子(チョウジ:クローブのこと)
上記のほかに、9種類。
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十六味保命酒は、透明感のある美しい琥珀色。
飲むと、濃厚でまったりとした甘味が口の中に広がります。
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飲み干すとさまざまな生薬の風味、酒特有の風味がフンワリと香り、鼻から抜けていきました。
保命酒の甘さはモチ米に由来するもので、砂糖や甘味料は一切使用していません。
私はストレートで飲みましたが、オン・ザ・ロックや水割り、お湯割りなどの飲みかたもおすすめです。
保命酒は日本酒と違って、原料はモチ米と麹米(こうじまい)、さらにアルコール分約40%の焼酎。
そのため、麹から出る酵素によってモチ米が糖化され、濃厚でまろやかな甘味が生まれるのです。
それを原酒とし、16種類の薬味を漬けこんだあとに濾過(ろか)します。
日本酒と異なり保命酒の仕込みは、毎年4月。
醪(もろみ)を酒袋に入れて圧搾して絞る上槽(じょうそう)の作業は6月で、11月に新酒ができあがります。
なおアルコール度数は、約14度です。
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十六味保命酒は容量や容器・パッケージの違いで、さまざまな種類・価格がラインナップしています。
自宅用から贈答向けまで幅広いので、用途に応じて選べます。
量・価格は、ガラス瓶・化粧箱入 300mlで940円から。
詳細は、公式サイトを見てください。
トモエ印 みりん
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十六味保命酒と並ぶ入江豊三郎本店の看板商品が、「トモエ印 みりん(本みりん)」です。
モチ米と麹米、焼酎を原料としてつくられます。
つまり、十六味保命酒の原酒が本みりんなのです。
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そのため保命酒と同様に、濃厚でまったりとした甘味が楽しめます。
みりんは、以下の3種類の容量があります。
トモエ印 みりんは、おでんや煮物、鍋物、照り焼きなど、さまざまな料理の味付けにおすすめです。
みりん特有の甘味を生かし、菓子などにも応用できます。
保命酒の花
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「保命酒の花」(280円)は、保命酒の原酒ができるときの酒粕を本みりんと砂糖で味付けしたものです。
原酒の酒粕のため、薬味エキスは入っていません。
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保命酒の花をそのまま食べてみると、一般的な酒粕よりも甘味があって、おいしいです。
和え物の材料としたり、漬物に使ったり、お湯でといて甘酒として飲んだり、さまざまな使いかたができます。
酒粕は食物繊維が多く、健康食品としても再注目されていますのでおすすめです。
飲む保命酒の花 甘酒
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「飲む保命酒の花 甘酒」は保命酒の酒粕を使った甘酒の素です。
「しょうが入り」(500円)と「瀬戸内レモン風味」(500円)の2種類があります。
個包装された粉末タイプで、お湯を注いで混ぜればすぐに飲めます。
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直火炊き製法で甘酒の香りと味わいを生かし、風味豊かな保命酒の香りも楽しめる甘酒です。
しょうが入りを飲むと、まったりとしたやさしい甘味で、ややトロッとした舌触りをしており飲みやすいです。
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甘酒特有の酒の風味は控えめで、甘酒が苦手な人でも楽しめそうです。
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瀬戸内レモン風味は、甘酒の甘味と同時にレモネードのようなさわやかな甘酸っぱい風味が広がります。
しょうが入りの甘酒とはまた違った味わいで、こちらも飲みやすい印象でした。
なお、アルコール分は0.1%未満です。
保命酒のど飴
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「保命酒のど飴」は、名前のとおり保命酒を使ったのど飴です。
直火鍋でじっくりと焚き上げた飴の中に保命酒、さらにのどにやさしいニッキを練りこんでいます。
のど飴は、1つずつ個包装されており、光沢のある茶色で、おはじき型です。
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のど飴を口に入れると、少しずつやさしい甘みとともにニッキの強めの風味が広がりました。
なお、アルコール分は含まれていません。
80g入り(260円)のほか、お得な5袋セット(1,100円)もあります。
入江豊三郎本店の店舗
入江豊三郎本店の店舗は、鞆町内に3店あります。
本店
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入江豊三郎本店の本店は、2021年(令和3年)にリニューアルを実施しました。
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商品選びと同時に、昔からある中庭や井戸、五右衛門風呂なども見学できます。
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保命酒関連の資料を展示したスペース
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蔵
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蔵は入江豊三郎本店の仕込み蔵で、商品も販売しています。
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場所は本店と同じ道沿いで、本店の約60m西側。
建物は約200年前のものとされています。
予約をすれば、酒蔵見学も可能です。
渡船場店
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渡船場店は、仙酔島へ渡る市営渡船場のすぐ西側にあります。
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渡船場店でも、保命酒やみりん、保命酒関連商品など幅広く販売。
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入江豊三郎本店の商品を販売しているほか、テイクアウトのドリンクやアイスクリーム「鞆の浦アイスクリン」も販売しています。
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仙酔島からの渡船帰りや、鞆の浦の町並み散策の休憩におすすめです。
鞆の浦アイスクリンは、たくさんの種類をラインナップしています。
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なかでも、保命酒味や甘酒味が人気です。
昔ながらの製法で鞆名産の保命酒やみりんを製造・販売する有限会社 入江豊三郎本店。
代表取締役の入江里彩(いりえ りさ)さんに話を聞きました。
入江豊三郎本店の代表・入江里彩さんへインタビュー
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昔ながらの製法で鞆名産の保命酒やみりんを製造・販売する有限会社 入江豊三郎本店。
代表取締役の入江里彩(いりえ りさ)さんに話を聞きました。
明治19年創業で130年以上の歴史
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──入江豊三郎本店の歴史を教えてほしい。
入江(敬称略)──
保命酒自体の歴史は江戸時代初期にさかのぼりますが、入江豊三郎本店の創業は1886年(明治19年)です。
創業から137年の歴史があります(2023年取材時点)。
もともと入江家は、讃岐国で商売をしていたようです。
初代の入江豊三郎が鞆の地へ移住し、保命酒やみりんの醸造業を始めました。
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最初は現在の本店の少し南東、海寄りの場所にあったようです。
しかしその後、高潮の被害を受けて現在の蔵がある場所へ移転します。
また昭和初期に現在の本店の場所へ、弊社の商品を販売する小売店を開きました。
本店の建物は非常に古い町家で、過去にさまざまな商売人のかたが住み、商いをしていたそうです。
令和元年に七代目の代表に就任
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──入江里彩さんが代表となったのは?
入江──
私が代表取締役になったのは、2019年(令和元年)です。
私は入江家の人間ですが、父の仕事の関係でパナマで生まれ、ブラジルでも過ごしたことがあります。
小学校のとき、鞆に住み始めました。
進学で上京し、卒業後は東京で働いていたんです。
2000年代以降、鞆の浦の観光客が増加するなか、親から「会社を手伝ってほしい」と呼び戻されました。
以降、入江豊三郎本店でさまざまな仕事を経験し、代表取締役に就任しました。
私で七代目になります。
植物性のみの薬味でつくられる飲みやすい入江豊三郎本店の保命酒
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──入江豊三郎本店の保命酒の特徴・こだわりは?
入江──
入江豊三郎本店の保命酒のもっとも大きな特徴は、使用する16種すべての薬味が、植物性のものであることです。
そのため香りが豊かで、スッキリとしたさわやかな味わいになっています。
クセの少ない、非常に飲みやすい保命酒なのが特徴です。
あとは創業時から続く、昔ながらの製法でいまもつくっていることもポイントですね。
原酒となるみりんの製造から、こだわっています。
やはりみりんがおいしくないと、保命酒がおいしくならないと思うからです。
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みりんづくりで使う米は、厳選した広島県産のもの。
米麹は自社でつくっています。
弊社では地元のかたを中心に、みりんを愛用しているお客様が多いんです。
実は、売上は保命酒よりみりんのほうが多いほど。
みりんは、日常の料理に使うからだと思います。
保命酒の原酒はみりんですから、みりんがお客様に認められているのはうれしいですね。
保命酒を生かしてさまざまなコラボレーションを展開し、保命酒を身近な存在に
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──保命酒を使ったさまざまな商品を販売している。
入江──
これは父である先々代のときから始まりました。
どうしても保命酒は、ご年配向けのイメージがありますから、もっと多くの世代に保命酒の存在を知ってほしいという思いから始めたものです。
弊社はあくまでも醸造所なので、それ以外の技術がありません。
しかし福山や、備後地方など周辺地域にはさまざまな会社があります。
それらの会社とコラボレーションし、弊社の保命酒を使ったさまざまな商品を製造してもらいました。
保命酒は特有の甘い味わいがあります。
その保命酒の甘味などの風味が、いろいろな商品に生かせるのです。
少しずついろいろな企業様にお声がけさせていただき、保命酒を使った商品もかなり増えました。
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保命酒関連商品で売れ筋は、保命酒のど飴と甘酒ですね。
おかげさまで甘酒と、保命酒を使った「鞆の浦らーめん」が福山ブランドに認定されるなど、結果も出てきました。
今後もさまざまなコラボレーションを通じ、保命酒を身近に感じてもらえるようにしていきたいです。
そうすれば、フッと「保命酒自体はどんなものだろう」と保命酒を手に取ってもらいやすくなるのかなと思います。
保命酒を通じて鞆の浦の魅力を発信
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──今後の展望ややってみたいことは?
入江──
鞆の浦の名産品である保命酒・みりんの醸造を、これからも守って続けていくのはもちろんです。
それだけでなく、保命酒を通じて鞆の浦の魅力を発信していきたいですね。
2021年(令和3年)に、本店をリニューアルしました。
もともと古い町家ですが、それを生かし、建物自体も楽しめるようにしています。
商品の購入だけでなく、昔からある井戸や風呂、中庭、壁や柱などを見学できるようにしました。
店内で休憩ができるスペースも設けています。
入江豊三郎本店は「鞆町伝統的建造物群保存地区」の一部にあるので、昔ながらの建物自体も観光資源です。
保命酒をはじめとした商品だけでなく、建物やお客様とのふれ合いも通じて、鞆の浦の魅力を発信していくよう心がけています。
鞆名産の保命酒を製造する老舗・入江豊三郎本店
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鞆の浦で江戸時代からつくられている名産の保命酒・みりん。
ぜひ一度手に取ってみてください。
また入江豊三郎本店では、保命酒を使ったさまざまな商品を販売しています。
どんな味がするのか気になりませんか。
保命酒を使った商品も、ぜひお試しください!