潮岬灯台が点灯150周年 内部や「灯室」を特別公開、和歌山県串本

海の安全を長年守り続けている潮岬灯台(和歌山県串本町潮岬で)

 国内初の洋式木造灯台として初点灯した潮岬灯台(和歌山県串本町潮岬)が、9月15日で本点灯から150周年を迎える。田辺市の田辺海上保安部が記念イベントとして灯台の一般・特別公開をする。抽選で普段は見られない灯器が設置されている「灯室」を公開する。

 潮岬灯台は1866年5月に江戸幕府がアメリカ、イギリス、フランス、オランダの4カ国と取り交わした「江戸条約」によって造られた国内灯台8基のうちの一つ。航海の難所とされる海域がある串本町には同灯台のほか、樫野埼灯台も同条約で建てられた。イギリス人技師で「日本灯台の父」とも呼ばれているリチャード・ヘンリー・ブラントンが建設を指導した。

 本点灯は73年だが、70年に仮点灯が始まった。イギリスから運搬中にトラブルが起きて灯器が届かず、アメリカの蒸気機関車のヘッドランプを代用して約3年間仮点灯していた。

 初代の灯台は台風で崩壊。現在の石造りの灯台は2代目となる。隣接する旧古座町の砂岩を使い、77年5月~78年4月の約1年で改築された。

 灯台の大きさは、高さ約23メートル(地上から灯火まで約20メートル)。平均水面から灯火までは約49メートル。15秒に1回発光する。光度は97万カンデラ。光の到達距離は約35キロ。国内で見学できる灯台16基の一つ。

 記念イベントは11月11日午前10時~午後4時に開く。灯台内部の踊り場までを一般公開するほか、抽選で75人に灯室を公開する。

 灯室の見学希望者は、往復はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号、同行者の人数、見学希望時間(第3希望まで)を記入し、郵便番号646―0023田辺市文里1丁目11の9、田辺海上保安部交通課に郵送すればよい。

 見学時間は午前10時台、11時台、午後1時台、2時台、3時台から選ぶ。いずれも約20分程度。応募締め切りは10月13日(必着)。問い合わせは交通課(0739.22.2001)へ。

 公益社団法人「燈光会」は9月15日まで、潮岬灯台と同じく安乗埼灯台(三重県志摩市)も今年で点灯150周年を迎えたのを記念した企画を実施。両灯台を参観した人にポストカードを配布している。灯台を参観するときにもう一方の見学記念券を見せる必要がある。

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