音楽フェスで「梅」に行列 全国一の産地・和歌山の若手奮起

梅を使った商品を「サマーソニック」の会場で販売した若梅会のメンバー(大阪市で)=提供

 和歌山県のみなべ町と田辺市にある梅加工販売会社の若手でつくる「若梅会」が、梅の消費拡大に向けた取り組みを活発に展開している。梅の消費量は減少傾向とされるが「潜在能力はある」として、業界全体の底上げにつなげたい考えだ。

■3グループで活動

 若梅会が積極的に動くようになったのは、田辺市上芳養の「濱田」専務の濱田朝康さん(45)が会長に就いた2022年から。梅の消費量が落ち込んでおり「これまで通りではいけない」と考えた。「梅と食」「梅とスポーツ」「梅と広報」という3グループを設けており、それぞれが活動している。

■「梅と食」

 大阪市で19、20日にあった国内最大級の音楽フェスティバル「サマーソニック」に出展した。梅を使ったうどん、おにぎり、かき氷の3種を販売。2日間で計4千食超を売った。

 この3種にしたのは、食器の持ちやすさ、食べやすさなどを考慮したため。携わった田辺市下三栖の「中田食品」執行役の中田悠一朗さん(30)が学生時代によく音楽フェスを鑑賞していた経験も踏まえた。

 店の前には行列ができ、用意した分はほぼ完売した。中田さんは「今後もお金を支払ってでも食べたいと思ってもらえる場所で梅を提供していきたい」と話す。プロジェクトを「梅ノ香リハ何処マデモ」と名付け、さまざまな方法で魅力を広げていくという。

■「梅とスポーツ」

 田辺市や上富田町で23~27日にある全日本大学女子硬式野球選手権大会の参加13校に、梅製品を贈った。21日には大阪体育大学(大阪府)への贈呈式があった。濱田さんと上富田町岩田の「紀の里食品」専務の上田直基さん(33)が、4年生の太田栞主将(22)らに製品を手渡した。

 スポーツ関連の大会やイベントの参加者への寄贈は以前から続けている。疲労回復や熱中症予防として食べてもらう狙いで、梅はスポーツとの親和性が高いと考えているためだ。製品を気に入ってもらい、以降の購入につながればと期待している。

■「梅と広報」

 本格的な活動はこれから。交流サイト(SNS)などで、さまざまな情報を発信していくという。

 濱田さんは「業界が厳しい状況にあるというのは皆が感じていると思うが、サマーソニック会場での盛況ぶりは自信になったし、モチベーションの高いメンバーも多い。楽しみながら梅の可能性を広げていきたい」と話している。

梅製品を手渡す「若梅会」の濱田朝康さん(右端)と上田直基さん(右から2人目)=和歌山県田辺市上の山1丁目で

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