日生劇場版 バレエ『くるみ割り人形』上演中 クリスマス、クララが見た夢物語 

少女クララがみたクリスマスの夢物語。“日生劇場版”として新たに改訂演出・振付される谷桃子バレエ団『くるみ割り人形』が上演中だ。日生劇場ファミリーフェスティヴァルの一環としての公演。

クリスマス・イヴにくるみ割り人形を贈られた少女が、人形と共に夢の世界を旅するという物語。原作は、ドイツのE.T.A.ホフマンによる童話『くるみ割り人形とねずみの王様』を、アレクサンドル・デュマ・ペールがフランス語に翻案した『はしばみ割り物語』。クラシック・バレエを代表する作品の一つであり、同じくチャイコフスキーが作曲した『白鳥の湖』『眠れる森の美女』と共に「3大バレエ」とも呼ばれている名作バレエ。これをオーケストラの生演奏とともにわかりやすい解説付で。
子役オーディションで選ばれた32名のバレエダンサーたちと共ともに作る舞台。

楽曲も物語も、もう説明する必要のないくらい有名だが、解説が入ることによってよりわかりやすくなっている。オーデションで選ばれた子供たちは1幕のクリスマスパーティーのシーンに登場。よく見ると1人1人服装が違う。クリスマスといえば、プレゼント。クララはくるみ割り人形をもらうが、他の子供達、特に男の子たちはおもちゃの刀など、早速、剣術を!これが真剣に楽しそう。大人たちがいるのになんのその、夢中で刀を振り回す姿は観ていて笑みが。1幕の巨大なネズミたちが、どこかユーモラス。クララめがけて大暴れ、そこへ颯爽とくるみ割り人形が登場!そして大砲も(笑)。ネズミが吹っ飛ぶ!この吹き飛ばされ方が、ポーンと飛ぶのも面白い。

2幕はお菓子の国のシーン。お菓子の妖精、このファンタスティックな設定、原作の「くるみ割り人形とねずみの王様」クリスマスに人形が命をもって動き出すメルヘン、この作品はその後の児童文学に大きな影響を与えている。金平糖、チョコレート、コーヒー、マカロン、さまざまなお菓子。

そして、何よりもバレエの水準の高さ、1幕ラストの雪のシーンは有名、また、2幕のお菓子たちが踊る場面も綺麗に決まっており、まさに子供から大人までしっかり鑑賞できる。

そして最後は素敵な結末。また谷桃子バレエ団、歴史は古く、1949年に発足、今年で創立74年を迎える。クラシックから創作まで幅広くクリエイト。今回の『くるみ割り人形』も原振付はイワーノフ、演出・振付は谷桃子、そして改訂演出・振付は芸術監督の髙部尚子、元々の振付をリスペクトしつつ、そこから現代に合わせて改訂、名作を未来につなげる、そういった意気込みも垣間見える。

公演は8月27日まで。

あらすじ
ドイツの古町でのお話。あるクリスマスの夜のこと、シュタルバ―ム家では盛大なパーティーが開かれている。この家の娘クララは兄のフランツと共に沢山の友人や、客人たちとパーティーを楽しんでいる。そこへ父親の友人である人形使いのドロッセルマイヤーが、子どもたちを楽しませる為に沢山のプレゼントを持ってやってきた。クララはドロッセルマイヤーからくるみ割り人形をプレゼントとして受け取る。楽しいパーティーが幕を閉じ、みんなが寝静まった夜。くるみ割り人形と一緒に居間のソファーで眠ってしまったクララのもとに現れたのは……。すてきな夢の物語が始まる。

谷桃子バレエ団について
日本バレエ創成期のプリマとして一世を風靡した谷桃子が1949年に設立。1955年大阪での初演がバレエブームを呼んだ「白鳥の湖」、谷桃子の生涯の当たり役となった「ジゼル」を団の二大レパートリーとして現在まで上演。また「リゼット」、「ドン・キ・ホーテ」、「ラ・バヤデール」など古典名作の初演を飾り、戦後の日本バレエ界に大きな影響を与えた。
創作作品にも積極的に取り組み、ビルギット・クルベリの「ロメオとジュリエット」、「令嬢ジュリー」他、振付家育成にも力を入れ団員の在外派遣や新作上演を行う。文化庁芸術祭大賞をはじめ多数受賞歴を誇る。
現在約140名の団員、附属アカデミー、研修生機関を有し、多くの舞踊家を育成。谷桃子が一念を通した〝心で踊る〟その想いを総員にて受け継ぎ、舞台活動を主軸に70年を越す伝統と文化を次世代に伝えている。

日生劇場ファミリーフェスティヴァルについて
ご家族で本格的な舞台芸術に触れていただくことを願い1993年に日生劇場開場30周年を記念してスタートしました。演劇やミュージカル、バレエなど、幼稚園や小学生のお子さまにも分かりやすく、また大人の方にも楽しんでいただける、本格的な作品を上演しています。
今年も夏のイベントにぴったりの演目をご用意しています。日生劇場周辺には、日比谷公園など、おでかけスポットもたくさん!夏休みのおでかけに、日生劇場で観劇体験はいかがでしょうか。

<60周年会見レポ>

概要
日程・会場:2023年8月25日~8月27日 日生劇場
原作:E.T.A.ホフマン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
台本原案:マリウス・プティパ
原振付:レフ・イワーノフ
演出・振付:谷 桃子
芸術監督 改訂演出・振付:髙部 尚子
出演:谷桃子バレエ団

公式サイト:https://famifes.nissaytheatre.or.jp/2023ballet/#content_3

舞台写真提供:公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]

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