愛犬の夜鳴きを改善したい!考えられる9つの原因とそれぞれの状況に合った対策とは

犬の夜鳴きで考えられる9つの原因と対策

犬を飼う人であれば誰でも経験するのが夜鳴きです。夜静まり返った頃になると始まるため、飼い主さんは寝不足になり、さらに近隣への迷惑も気になってしまうのでなかなかつらいことですね。

犬の夜鳴きは年齢や生活環境によってさまざまですが、中には病気が隠れている場合もあるので注意深く観察する必要があります。

まずは考えられる9つの原因の中から当てはまるものを探り、状況に合った対策をぜひ参考にしてください。

1.寂しいから

犬が夜「ピーピー」と鼻を鳴らして寝ないのは、寂しさを感じていることが多いです。犬は群れで生きる習性を持つため、1人で寝ることに対して寂しさを感じやすい面があります。

まだ小さな子犬であれば人間の赤ちゃんと同じように、温もりを感じながら眠りたい時期です。子犬でなくても、寂しさを感じてしまうことだって十分考えられます。

子犬が夜鳴きをする場合は、飼い主さんの部屋にケージやクレートを移動させるなどをして、声を掛けながら様子をみましょう。優しく撫でてあげると安心して眠ることもあります。それでも眠れない場合は、叱らずに近くで様子を見守ってみてください。

ケージやクレートの中に、飼い主さんの匂いがついたタオルなどを入れてあげると落ち着くこともあります。いずれも犬をハウスから出してしまったり、飼い主さんの寝床で一緒に寝てしまったりすると、夜鳴きをするクセがついてしまう可能性があるのでおすすめはできません。

2.運動不足

犬は運動不足になると寝つきが悪くなりやすいです。日中お留守番が続いている場合は、運動不足と寂しさで大きなストレスを抱えてしまうこともあります。

もし心当たりがある場合は、散歩時間を増やしたり、室内遊びで思い切り体を動かしたりする時間を作ってみましょう。

ただし、寝る直前まで興奮して遊んでしまうと逆効果になる場合もあるので、遊ぶ時間や運動量を上手くコントロールする必要があります。

3.お腹が空いている

なぜか愛犬が夜になると訴えるように吠えるのは、空腹を感じているからかもしれません。まずは、体重や年齢に適した食事量であるかを見直してみましょう。

また、食事回数や時間を変えてみるのもひとつの手です。遅い時間帯に散歩に行くと夜中にお腹が空きやすくなるので、食事時間を変更してみたりしてください。

4.発情期のため

成犬であれば、オスもメスも発情期が原因で夜鳴きをすることがあります。メスであればホルモンバランスの変化によってイライラしやすくなり、オスであればメス犬のフェロモンに反応して遠吠えをすることがあります。

メスの発情期は年に2回ほどですがオスの場合は年中問わず続いてしまうため、夜鳴きやマウンティングに悩まされてしまいやすいです。

発情期の犬を落ち着かせるには、不妊手術が推奨されています。手術にはメリットとデメリットがあるので、獣医師とよく相談をした上で決断するようにしてください。

5.環境に不満がある

犬が夜鳴きをするのは、「トイレを綺麗にして欲しい」「寝床が暑い・寒い」「うるさくて眠れない」といった環境への不満を訴えているのかもしれません。犬は環境が気に入らないと大きなストレスを感じてしまうので、今一度見直してみてください。

犬がぐっすり眠れる環境とは、暗くて静かでほら穴のような狭い場所です。クレートはまさに犬にとって落ち着く場所になるのでぜひ利用してみてください。

また、トイレと寝床はしっかり分けることが大切です。寝床のすぐ隣にトイレがあると嫌がる犬も多いです。この機会に愛犬にとって居心地のいい環境をよく考えてみましょう。

6.不安や恐怖を感じている

なぜか犬が夜鳴きをする時は、犬にとって嫌なことがないかよく確認してみてください。不安や恐怖を感じているとストレスになり、それが夜鳴きにつながることがあります。

引っ越しなどの環境の変化、花火大会や工事現場の騒音が聞こえるといった犬が不安になることも夜鳴きの原因になりやすいです。まずは犬を落ち着かせ、夜鳴きがおさまるまで側で見守ってみてください。

7.分離不安による症状

犬の構いすぎによって起きる分離不安という病気の症状が、夜鳴きとして出ている可能性も考えてみてください。普段から吠え癖がある犬は、「吠えたらいいことがある」と覚えてしまっています。

夜鳴きをするのは「飼い主さんに構って欲しい」という甘えの要求があるので、根本的な原因を取り除く必要があります。すでに少しでも離れただけで吠えてしまうといった分離不安の症状が出ている場合は、ドッグトレーナーや獣医師に相談をしながら少しづつ改善を図ることをおすすめします。

8.体調不良

急に犬が夜寝なくなったのは、ケガや病気など何らかの体調不良があるのかもしれません。

まずはその日の行動や食べたものを思い出し、いつもと違ったことがないか確認しましょう。食中毒のような症状やケガをしていないか、夏であれば熱中症も疑ってください。

9.老化や認知症によるもの

体調不良のほかに原因が見つからないのに、なぜか犬が夜鳴きをする場合は年齢的な何かが隠れていることも考えられます。シニア犬になると聴力や嗅覚が衰えてしまい、視力も低下してしまいます。

人間も体が衰えると日常生活に不安を覚えやすくなりますが、それは犬も同じです。夜になると急に不安を感じてしまっているのかもしれません。

また、認知症を患ってしまうと急に夜鳴きを始めることがあります。日中の様子も含めて愛犬の様子がおかしいと感じる時は、早めに獣医師へ相談してみてください。

まとめ

愛犬が夜になるたびに吠えてしまうと、飼い主さんとしては耐え難いものがあるかと思います。

しかし、犬も人間と同じように寂しい時や不安な時は誰かに側にいて欲しくなるものです。そのような犬の気持ちを理解しながら、状況に合わせて適切な対策を行ってみてください。

愛犬の夜鳴きへの対応はなかなか大変ですが、1人で悩まずに家族や専門家の協力を得ながら行って欲しいです。

(獣医師監修:平松育子)

© 株式会社ピーネストジャパン