久留島武彦の新聞記事資料集「昭和の巻」発行 玖珠町の記念館館長が全国巡る【大分県】

久留島武彦が登場する「昭和の巻」を紹介する金成妍館長=玖珠町
昭和の記事139本を集めた資料集「昭和の巻」

 【玖珠】玖珠町と町教委は、町出身の口演童話家・久留島武彦(1874~1960年)が登場する新聞記事をまとめた資料集の第2弾「昭和の巻」を発行した。明治、大正を扱った第1弾に続き、今回は昭和の記事139本を掲載。久留島武彦記念館(町内森)の金成妍館長が約20年かけ、全国の図書館を巡って探し出した記事を編集した。

 「日本のアンデルセン」と呼ばれた久留島は全国各地で口演童話活動を展開。「継続は力なり」など名言も多く残している。

 「昭和の巻」はA5判・392ページ。大分合同新聞など計13紙に載った記事を転載し、下段には現代語訳を付けた。国内最古の桃太郎像が子どもたちの手で運ばれ、町内の三島公園に設置されたことや第1回日本童話祭の様子、別府観光の父といわれる油屋熊八との接点など、活動の軌跡をたどることができる。

 200冊を発行。約100冊は県内の図書館や高校、町内の小中学校に寄贈し、残りは1冊1万2千円(税込み)で販売する。記念館でも読むことができる。

 金館長は「当初は批判も多かった口演活動が少しずつ受け入れられ、教育として認められる過程が見て取れる。貴重な1次情報である新聞記事から、激動の時代に久留島がどんな活動をしてきたのか、多くの人に知ってほしい」と話す。

 新聞記者としても活躍した久留島が執筆した記事を集めた第3弾も来年度に発行する予定で、「久留島3部作として一区切りをつけたい」と金館長。

 問い合わせは久留島武彦記念館(0973.73.9200)。

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