GT500で結果を残す難しさ。8号車ARTA大湯、24号車リアライズ平手、ワンミス&ペナルティストップ60秒に泣く

 スーパーGT第5戦鈴鹿、今回優勝候補に挙げられながら、予選で走路外走行、四輪脱輪で不本意な結果に終わってしまった8号車ARTA MUGEN NSX-GT、そして24号車リアライズコーポレーションADVAN Zの2台が、決勝でもまた、不運とも言えるアクシデントに見舞われてしまった。

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︎24号車リアライズ平手晃平、緊急ピットインがFCY中となりペナルティ**

 まずは24号車リアライズ。平手晃平がスタートを務め、6番手を走行中の11周目にGT300の車両が止まったところでピットイン。しかし、ちょうどFCY(フルコースイエロー)となってピットクローズになったタイミングでピットインしてしまい、ピットストップ60秒のペナルティを受けてしまう。平手晃平にピットイン時の状況を聞いた。

「130Rの手前でダッシュボードのFCYのカウトダウンの表示が出て、そのままシケインに差し掛かって、シケインを曲がっているところでチームから『ピットに入って!』と連絡があった。シケインに入る準備をして、FCYのカウントダウンも始まっていなくて、目の前に38号車(ZENT CERUMO GR Supra)がいるのでぶつからないようにしながら(ピットレーンの入り口がある)右側に行かなきゃと思って」

「目の前に38号車がいるので、38号車のリヤしか見えない状態で(最終コーナーアウト側の)ポストのイエローフラッグも見えなかったし、僕の感覚ではFCYのカウントダウンも始まっていないと思っていたところでチームから『BOX』と言われたのでピットに入った。ピットロードの入り口には何も表示はないです」

「でも、ピットに入った瞬間に目の前の38号車、その先のクルマはピットに入らなかったので、『なんかヤバイんじゃないか』と半信半疑の状態でピット作業を済ませました」

 結果的に、24号車はFCY中のピットクローズ時にピット作業を行ったことで、ピットストップ60秒のペナルティを受けて、13位でレースを終えることになった。

「もう少し、周りの状況が見える状態だったら自分でもマズイんじゃないかと無線で言えたし、チームの方でも誰かが気づいて『ステイ!』と言ってくれたらステイできる時間も余裕もありました。ですので、本当に運が悪いというか間が悪いというか」と平手。

「本当、レースのパフォーマンスを見れば16号車(ARTA MUGEN NSX-GT)にどんどん追い付いていった状況だったし、普通にレースをしていれば表彰台は見えてくる展開だったと思うので、本当に今のウチのチームは何かひとつだけが欠けている。力があるのに結果が出せないというところが今のKONDO RACINGの状況なので、もう一度、チーム全員でルール、指示系統のやり取り、コミュニケーションのところをもう1回、見直さないといけないなと。走りとかクルマとかタイヤに関してはもう、速さを証明できているので、それ以外のところで持っている力をいつも出し切れずにいる。そこを次のレースまでにしっかりと話し合って、改善していきたいなと思います。次こそはポール・トゥ・ウイン、何回言ってるんだコノヤロー、ですよ」

 速さはありながらも、なかなか望んだ結果が出ない状況に、平手のもどかしい気持ちがわかる。

FCYのタイミングでピットインしてしまい、ペナルティを受けたリアライズコーポレーションADVAN Z

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︎タイヤパンクチャーから130Rで飛び出した8号車ARTA大湯都史樹**

 同じく、8号車ARTA MUGEN NSX-GTの大湯都史樹にとっても、悔しい戦いになってしまった。前日の予選では自らのアタック中にデグナーではみ出して、2番手タイムを抹消されて7番グリッドからのスタートとなり、前半を野尻智紀が担当。45周目に大湯都史樹に交代して、11番手から前の37号車Deloitte TOM’S GR Supraのジュリアーノ・アレジを追う展開になる中、62周目にアクシデントが起きる。大湯がその状況を話す。

「ヘアピンで近づくことができたのでブレーキングで(37号車を)抜こうと思って、あのヘアピンには決め打ちで飛び込むしかないところがあるので飛び込んで行ったのですが、インに入ってクルマ1台分のスペースはあったのですけど、ジュリアーノ選手もそれを見て、厳しめに防いできた。そこで僕が若干、止まりきれないところがあって接触してしまいました。僕はステアリングを切りながらインに入っていたこともあって、僕の右フロントタイヤがジュリアーノ選手のサイドに当たってしまって、その当たりどころが良くなかった」

「普通のあの程度の接触なら、どこまでのダメージではないと思うのですけど、当たりどころが悪くて、パンクチャーしてしまいました。すぐに違和感はあって、スプーンのひとつ目のブレーキングの瞬間に完全にグリップがなくなってしまって、飛び出してしまって、どんどんひどくなっていきました」

「それでもクルマは曲がることができたので、130Rでも曲がるはずと思って入っていったら、まったく曲がらず、外まで行ってしまって、(タイヤバリアまで)ギリギリでした」

 130Rを飛び出した大湯はタイヤバリア寸前でクラッシュを避けられたが、この瞬間にFCYとなった。大湯としては右リヤがパンクした状態だったこともあり、そのままピットインするも、FCY中のピットインで60秒ストップのペナルティを受けることに。

「僕としてはその時点でピットに入らざるを得ないので、FCYが入るタイミングの不運が重なってしまいました」と大湯。

「そもそも今週は予選でポール、上位グリッドを獲れなかったことから、こういう流れで追い上げるしかないような戦略になってしまって、今回のレースで言うと全部悪い方向に行ってしまった。レースでは前にクルマがいると全然追い上げられない状況で、その中でも1ポイントでもと思って、ここしかないというチャンスで(37号者のインに)飛び込んだつもりだったのですけど、当たりどころが悪かったです」

 24号車、そして8号車、それぞれ速さがあるのは間違いないが、予選、決勝ともにワンミスで勝負権を失うことになってしまった。速いだけでレースでも好結果が出せるほど、今のGT500は甘くない。その現在のGT500で結果を出すことの難しさを、24号車、8号車の2台が象徴することになった。

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