キャンパス公開、今夏盛況 茨城県内大学、知恵絞る 来場回復、地方に危機感も

来訪者に自己紹介する説明役の学生=つくば市吾妻の筑波学院大

茨城県内の大学ではこの夏、高校生に学校の魅力を伝えるオープンキャンパスが盛んに開かれた。コロナ禍で開催規模が抑えられた過去3年間に比べ、参加人数が回復し、通常モードに戻りつつある。来春の新入生確保につなげようと、大学側は県外から見学者を招いたり出張講座を開いたりと、従来より力を入れる傾向も見られる。〝集客〟に知恵を絞る各校の様子をのぞいた。

筑波学院大(つくば市)は来春から「日本国際学園大」に改称し、仙台キャンパスとの2拠点体制への移行を控える。12日は事前に申し込んだ約40人が保護者らと来訪。現役学生が案内役に加わり、つくばキャンパスの魅力を伝えた。

「変化し続ける時代をどう生きるか」。冒頭、橋本綱夫理事長が大学の概要を説明。新名称に入る「国際」について「世界に目を向け、ツールとしての実用英語を身に付けてほしい」と伝えた。

模擬授業もあり、英語コミュニケーションのロバート・ジュペ教授の教室では、疑問文の作り方を指導。地元の高校2年、山田芽依さん(17)と清水さくらさん(17)の同級生2人は「大学見学は初めて。優しく教えてもらって楽しかった」と話した。

仙台キャンパスのある宮城県から訪れた人も。仙台近郊の宮城県利府町から母親と参加した高校3年、渡辺和也さん(17)は「1年生はつくばで学ぶので、下見のつもりで来た。仙台のようにビルばかりではなく、地元と同じくらい自然がある。雰囲気がいい」と印象を語った。

コロナ禍でここ3年、オープンキャンパスは規模縮小されていた。各校は今年、事前申し込み制などによる人数制限を緩めている。

19日に「キャンパス見学会」を開いた茨城キリスト教大(日立市)は、模擬授業のみ予約制とし、見学自体は来場を自由にした。ただ、学食開放はコロナ対策で見送った。入試広報部の担当者は「コロナ禍前の活気を手探りで戻していきたい」と話した。

常磐大(水戸市)は6日に開催。申し込み制で全学科満席となった。昨年は午前、午後に分けたのを一本化したところ、人数も増えたという。ここ2年実施しなかった入試対策講座にも取り組んだ。

茨城大(水戸市)は7月22日、3キャンパスで約6800人を集めた。コロナ禍前の7千人に迫る人数となった。「研究系を含め全学を挙げて取り組んだ。来年度はもっと力を入れたい」(広報室)。県立高校を会場にした出前講座「1dayキャンパス」も実施し、既に終了した会場では栃木や福島など隣県からも来場者があった。

筑波大(つくば市)は7月から開始し、来場者は1万人超と前年の3倍程度に戻った。予約制での来場制限は模擬授業などを除いて解除。キャンパス内を自由に見学できるようにした。

オープンキャンパスについて各校は「PRは夏が大事」(筑波大入試課)として、受験シーズンが本格化する前に直接見て親しみを感じてもらう貴重な機会と位置付ける。

受験生の傾向に関し、ある大学の担当者は「進学先の選択が地元から東京方面に戻りつつある。推薦やAO入試など早い段階で進学先を決める傾向も強まっている」と、コロナ後のトレンドを語る。少子化による生徒数減少などを踏まえ、「高校までの学びの先にどう大学が関わるか、地方の大学を選んでもらうために問題意識を持たないと」と危機感も示した。

© 株式会社茨城新聞社