レッドブル&HRC密着:ホーナーが語るピットインの優先順位。すべてはチームとして最大の得点を獲得するため

 雨のレースで最初にその状況の中に飛び込むのは、先頭を走行しているドライバーであることが多い。ザントフォールトで行われたF1第14戦オランダGPの決勝レースでも、ポールポジションからスタートしたマックス・フェルスタッペンの1回目のピットインのタイミングが、1周遅れたのはそのためだった。クリスチャン・ホーナー代表は次のように語る。

「雨が降ってきた状況でピットインするかどうかはいつも難しいのだが、とりわけ先頭を走っていると判断するための時間が少ないから、より難しかった。1周目にチェコ(セルジオ・ペレス)がピットインしたのは彼の判断で、それが功を奏した」

 2周目にピットインしてドライからインターミディエイトにタイヤを交換したフェルスタッペンは、雨が上がって、まだ濡れた路面でライバルたちより数秒速いペースで走行し、失ったポジションをあっという間に取り戻して行いった。これで7周目にはトップのセルジオ・ペレスに続いて2番手を走行し、レッドブルが1-2体制を築く。

 しかし、路面は急速に乾き、今度はインターミディエイトからドライへのタイヤ交換のタイミングが重要となった。ホーナーは先にフェルスタッペンを入れた理由を次のように説明した。

「クロスオーバーの厄介なポイントに差し掛かったとき、(フェルナンド・)アロンソ(アストンマーティン)と、その後ろにいた(ピエール・)ガスリー(アルピーヌ)がピットインした。そして、ドライタイヤで走り続けていた(アレックス・)アルボンのペースが良くなっていることがわかった」

「その状況で、もしチェコを先にピットインさせていたら、2番手にいたマックスはアロンソとガスリーにアンダーカットされていただろう。そうなればわれわれの1-2体制は崩れ、1-4になっていただろう。われわれは1-2体制を維持して、チームとして最大の得点を獲得するためにマックスを先にピットインさせた」

ピットロードを走行するマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 その後、レースはローガン・サージェント(ウイリアムズ)のクラッシュによってセーフティカーが出たり、激しい雨が降ってきて周冠宇(アルファロメオ)がクラッシュして赤旗が出たものの、いずれの再スタートもフェルスタッペンがトップの座を守り、トップでチェッカーフラッグを受けた。

 これでフェルスタッペンはオランダGP3連勝を飾っただけでなく、今シーズン第5戦マイアミGPから続けていた連勝を「9」に伸ばした。これはセバスチャン・ベッテルがレッドブル時代の2013年に樹立したF1史上最多連勝記録に並ぶ記念すべき勝利だった。その記念すべき勝利を「オランダGPで達成できたことをとても誇りに思う」とフェルスタッペンは喜びを爆発させていた。

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