『ハリー・ポッター』初期作7つのトリビア。キャスティング秘話やロケ地での騒動を知ってた?

史上最強のファンタジー映画として、シリーズ完結から10年以上の時が経過した現在でも根強い人気を誇る「ハリー・ポッター」シリーズ。

映画館ではたびたびリバイバル上映が行われ、地上波で放送されれば高い視聴率を記録。さらに藤原竜也さんや向井理さんが出演していることで大きな話題となった舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』も絶好調。今なお「ハリー・ポッター」というブランドは健在といえるでしょう。

今回は、そんな「ハリー・ポッター」シリーズのキャスティング秘話から撮影裏話まで、初期作品のトリビアをご紹介します。

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『賢者の石』編:ハリー役探しはいばらの道だった。キャスティング裏話

世界中の誰もが知っているであろう「ハリー・ポッター」は、1997年、作家のJ・K・ローリング執筆によるファンタジー小説として産声を上げました。
2001年には待望の実写映画化もされ、瞬く間に世界的大ヒットを記録。2011年までに計8作品が公開となり、そのすべてが大ヒットを記録する快挙を成し遂げました。

そんな「ハリー・ポッター」シリーズですが、やはり主人公ハリーを初めとした主要キャラクターを演じる俳優探しはかなり難航したと言います。

特にハリー・ポッター役を演じる子役の人選は映画公開の2年前である1999年から始まり、実に1000人以上の俳優たちをオーディションしました。しかしながら、役柄にピッタリとハマる俳優が見つからず、製作陣は苦悩します。

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そんな中、監督を務めたクリス・コロンバスは、たまたま1999年のテレビ映画『デヴィッド・カッパーフィールド』を目にします。すると、そこにハリー役にピッタリの少年が映っていたのです。その少年こそが、何を隠そう、ダニエル・ラドクリフだったのです。

主演俳優をついに見つけたコロンバス監督はすぐさまキャスティングディレクターに伝えるも、ダニエルのスケジュールに空きがなく、両親が映画出演に懸念を示しているという事実が明らかになります。なんとしても、ダニエルをハリー役に起用したい製作陣は数か月にわたり、熱心にアプローチをかけました。

そして、ようやく両親を説得することに成功。このようないばらの道を経て、私たちが知っている‘‘生き残った男の子’’ハリー・ポッターが誕生したのです。

そのほか、ハリーの親友ロン・ウィーズリー役のルパート・グリントはもともと原作小説のファンで、ロン役は自分しかありえないという強い気持ちを持って、自身のオーディションテープを送り、役を得ました。ルパートもまた大家族出身ということもあり、ロンとの共通点が多いのだとか。

ハーマイオニー・グレンジャー役のエマ・ワトソンは、イギリス各地でオーディションを開催した際に、オックスフォードシャーの学校で発掘されました。本人曰く、ハーマイオニーとは真逆の性格だと言います。

『賢者の石』編:ホグワーツのロケ地で抗議勃発。撮影に猛反対が

「ハリー・ポッター」シリーズで印象的な舞台と言えば、やはりホグワーツ魔法魔術学校。そのホグワーツの重要なシーンが撮影されたロケ地の一つが、グロスター大聖堂です。

グロスター大聖堂/ぱくたそ(www.pakutaso.com)より。

イギリスで最も美しい建築物の一つとして世界的に有名なこの場所ですが、当時は撮影に猛反対する抗議運動が勃発したと言います。なんとか無事に撮影は敢行されましたが、もしも撮影中止なんてことになっていたら、全く違うホグワーツの印象になっていたかもしれません。

『秘密の部屋』編:ロンが吐き出したナメクジは…

<映像中をよく見ると、原作小説がズラリ>

シリーズ第2作となった『ハリー・ポッターと秘密の部屋』序盤の場面。ハリーがロンの自宅から誤ってノクターン横町へと飛んでしまうシーンをよく見てみると…実は背景にあるショーウィンドウ内に、「ハリー・ポッター」原作小説が並べられています。

実はこういったイースターエッグはシリーズ各所に散りばめられており、ファンを大いに喜ばせました。

<嘆きのマートル、演じた俳優の年齢に驚き!>

『ハリー・ポッターと秘密の部屋』の中で最年長のホグワーツ生は誰だかご存じでしょうか? ヒントは、ホグワーツ内のトイレに住んでいる“あのお方”…そうです! 嘆きのマートルです。

もちろん、亡霊であるため、現役の学生より年上なのは明らかですが、享年は14歳とも言われている彼女。死亡時の容姿を保ち、ツインテールが愛らしい顔立ちによく似合っています。

DVD『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)

実は演じるシャーリー・ヘンダーソンの年齢は当時37歳! ホグワーツ生を演じる俳優の中で最年長だったという事実があるのです。そういった意味でも、紛れもなく彼女が“最年長”だったというわけです。ネット上には「37歳にはとても見えない」「マジかよ、凄いな」と驚きの声が上がっていました。

<ロンが吐き出した“ナメクジ”の正体は?>

『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でロンを襲った悲劇と言えば、ハーマイオニーを罵倒したドラコ・マルフォイに向かって魔法をかけようとしたら、誤って自分がナメクジを喰らってしまうという展開。

このシーンでロン役のルパート・グリントは、口からひたすらナメクジを吐き出しますが、このナメクジの正体は、スタッフが作ったゼリー状のグミでした。しかも、それぞれ味が違っていたため、ルパート自身は撮影を楽しんだと後に語っています。

『アズカバンの囚人』編:『ファンタビ』主人公が登場していた

映画「ハリー・ポッター」シリーズの後継作品として、その前日譚にあたる『ファンタスティック・ビースト』シリーズが、2016年から公開中ですが、同作の主人公であるニュート・スキャマンダーが、すでに『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の時点で登場していることを知っていますか?

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ニュートが登場する場面は、ハリーがフレッドとジョージよりもらった「忍びの地図」を見ているシーン。様々な人物の足跡が動いている中に「ニュート・スキャマンダー」の文字が見て取れるのです。

ホグワーツの指定教科書である「幻の動物とその生息地」の著者ではありますが、教師というわけではないニュートが、なぜホグワーツを訪れていたのかは定かではありません。

「ファンタビ」の主人公であるニュート関連のトリビアは他にもあり、同シリーズでニュート役を演じるエディ・レッドメインは、その昔、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』のトム・リドル役のオーディションを受けていたと言います。

当時、大学生だったエディはオーディションに落ちてしまいましたが、その十数年後に、今度は「ファンタビ」の主人公に抜擢されたという経緯があります。なんとも感慨深いエピソードですね。

『アズカバンの囚人』:それぞれの制服の着こなしに注目

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』では、ハリー、ロン、ハーマイオニーそれぞれの制服に個性が滲み出ています。

DVD『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)

ネクタイを少し緩めているハリー、セーターの下から裾がはみ出ているロン、ピシッと着こなすハーマイオニー…これは監督を務めたアルフォンソ・キュアロンのアイデアで、キャラクターの性格を表現しようと考え出された案だったと言います。

今回のトリビア集はここまで。ハリーの成長が色濃く表れるシリーズ前半の3作でまとめてみましたが、いかがだったでしょうか?
数々の裏話を知り、そこかしこに隠されたイースターエッグを探しながらの鑑賞は、また一味も二味も異なる映画体験をもたらしてくれるのではないでしょうか。

それでは……「いたずら完了!」。

(執筆:zash)

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