小池知事 フィンランド出張 地下シェルター視察 東京の“避難”課題

小池知事は8月21日~23日の日程でフィンランドのヘルシンキ市を訪れました。市長との面会や子育て支援の場などを視察しましたが、中でも現在の国際情勢を受け、今回の出張で知事が注目したのが「避難シェルター」です。北朝鮮からのミサイル発射に備え、都内にも一時避難施設が備えられていますが、ヘルシンキの避難シェルターの視察から、東京の課題が浮き彫りとなりました。

フィンランドの首都ヘルシンキ市。中央駅から四方に伸びるトラムを中心に広がる街並みには歴史的な建設物が多く残り、世界各国から多くの観光客が訪れています。一方で、その歴史を見ると、600年近くスウェーデンやロシアの領土となり、独立後も2度ロシアとの戦争が起きています。こうした歴史から他国からの攻撃などへの備えとして、市内には多くの避難シェルターが設けられています。

小池知事は、ヘルシンキ市内でも最大規模を誇る公営の避難シェルターを視察しました。地下25メートルに設けられたこのシェルター。水や電気のほか簡易トイレやベッドなどが備えられていて、非常時には3日間滞在することができるということです。

さらに、シェルターには多くの遊具が設置され、避難中でも子どもたちは施設内でストレスをためずに過ごすことができるようになっています。攻撃があった場合にはベッドやトイレを設置し、72時間以内に生活ができる体制が整えられます。ヘルシンキ市内にはこうしたシェルターが5000カ所ほどあり、人口の1.5倍が避難できるということです。

現在、東京都ではミサイル攻撃から守るための一時避難施設が4000カ所ほどあり、人口カバー率は100%を超えていますが、地域ごとに十分でないエリアもあるなどの課題を抱えています。

知事:「東京は1400万人の大都市。(ヘルシンキでは)実際にAがだめだったらB、BがだめだったらCと幾重にも重なって準備していることに感銘を受けた」

小池知事は一時避難施設を増やすとともに、独自の地下シェルターを設置することができるかなど検討する考えです。

知事:「都の避難の在り方など、考えるのに非常に参考になった。いろいろと適切な、また東京にあった方法など、模索していきたいと考えている」

ヘルシンキでは、5000カ所ほどの避難シェルターがあるということでしたが、東京都の一時避難施設を見ていきます。東京都によりますと現在、都内には民間施設と公共施設あわせて4017か所ありますが、駐車場などを活用した地下の避難施設は477か所に留まっています。

今回の視察で小池知事は地震、水害、ミサイルでそれぞれ適している避難所や対応が違うと話し、ヘルシンキの市民は「何かあったらこのシェルターに逃げるということを分かっている」と評価し、都民の意識の変化が必要であると話していました。

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