流出漁具回収へ「調査隊」 ダイバー、漁業者が連携

サンゴに絡まった古い漁網=2009年4月、フィリピン・パラワン島沖(Jurgen Freund氏・WWF提供)

 海に流出し行方が分からなくなった漁具は、ゴーストギア(幽霊漁具)と呼ばれる。多くがプラスチック製で自然分解されず、クジラや海鳥に絡まったりサンゴに引っかかったりして生態系に被害を与えると世界中で懸念されている。国内の環境団体やダイバー、漁業者は「調査隊」を結成、実態把握や回収に動き出した。静岡県を皮切りに活動を広げる考えだ。

 ゴーストギアは漁網やロープ、ブイが荒天や急な潮流変化で流出するほか、海底の岩や他の船に引っかかって発生する。国連や環境団体の分析では、海に出る世界のプラスチックごみの約1割を漁具が占め、毎年64万~115万トンに上る。

 世界自然保護基金(WWF)ジャパンは国内の現状を確認するため7月、静岡県西伊豆町や地元ダイバー、漁協とゴーストギア調査隊を発足させた。同町沿岸の水深18メートルまでの浅い海で来年6月までに計4回、ダイバーが2人一組で潜水調査する。見つけた位置や種類、量を記録し、その後、漁師が漁船で回収する。漁具は町が引き取り、産業廃棄物として業者に処理を依頼する。

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