日本代表一問一答、ホーバスHC豪州戦に向けて「私たちは信じています」【W杯バスケ】

河村と富永のプレーを称えたホーバスHC

大会でアジア1位となってオリンピック出場権を獲得する。その目標に向けてフィンランド戦で大きな1勝をあげた男子日本代表。試合後の記者会見で、ホーバスHCは次戦に向けてオフェンスのバランスが取って相手にプレッシャーをかけるという「バスケをやりたい。簡単に言うけど、オーストラリアはめっちゃ強いから難しいかもしれない。それでも私たちは信じています」と語った。

日本が1Q22-15とリードして始まった試合、フィンランドは3Pシュートを確率よく決めて逆転。ハーフタイムで36-46とされた日本は3Q途中最大18点差を付けられてしまうが、粘って10点差で終えると4Q、勝負どころで#5河村勇輝、#30富永啓生らがビッグプレーを連発してみせて98-88で勝利した。

記者会見の冒頭、ホーバスHCは“クレイジーな試合でした”と切り出すと、河村と富永という若い2人が特にオフェンスを引き上げてくれたと若き2人が立て役者だったと賞賛。「私達は日本バスケの新たなスタンダードを作り上げようとしている。これは間違いなく正しい方向への大きな一歩だったと思う」と歴史的な1勝だと語った。

また富永は「18点差になったときでも僕らは勝てると信じていましたし、僕らならやれるという確信がありました」と逆転勝利できると信じてプレーしていたと語った。

この勝利でグループE3位となった日本、ファーストラウンド最終戦となるオーストラリア戦(8月29日[火]20時10分開始予定)は、セカンドラウンド進出をかけての一戦となる。ホーバスHCは「ちゃんとオフェンスのバランスが取れるなら、相手にプレッシューをかけられる。そういうバスケをやりたいです。簡単に言うけど、オーストラリアはめっちゃ強いから難しいかもしれない。けど、私たちは信じています」とチームを信じて臨むと語った。

以下は記者会見での一問一答である。

<英語Q&A部分>

Q.この試合についての感想をお聞かせください。

ホーバス「クレイジーな試合でした。一時は18点差まで差を付けられたけど、みんな決してあきらめなかった。それでも一時は暗い気分になったよ。ここ3、4試合はシュートがうまくいかなかった。ここ3、4試合はシュートも良くなかったからね。でも河村勇輝と富永啓生という若い2人が特にオフェンスを引き上げてくれた。富永はディフェンスでも見せてくれたね。大きなプレーだった。観客たちも素晴らしかったよ。私たちにとって大きな勝利だったし、本当にハッピーだ。私達は日本バスケの新たなスタンダードを作り上げようとしている。これは間違いなく正しい方向への大きな一歩だったと思う」

富永「僕らにとって大きな勝利だった。18点差になったときでも僕らは勝てると信じていましたし、僕らならやれるという確信がありました。お互いに信頼しあってたし、一緒に祈っていました」

「ジョシュは今夜、信じられないほど素晴らしい働きをしてみせた」

Q.40分間を通して素晴らしいエネルギー・レベルでバスケットにアタックしていました。なぜできたのでしょうか?

ホーバス「いったん3Pシュートが決まり始めたら、相手も警戒するようにいなる。そういうバスケをやりたかったんだ。それまで3Pシュートが決まらなかっただけで、4Qは富永が決め出して、ジョシュ(ホーキンソン)もワイドオープンでレイアップを決め始めた。相手は3Pラインのガードに気を取られるようになったんだ。それで何本かスリップ(スクリーンを仕掛けるフリからゴールへのダイブ)してオープンでシュートを決めることができた。それが前半ではうまく行かなかった。

ジョシュは今夜、信じられないほど素晴らしい働きをしてみせた。ケガもあって2週間ほど離脱していた。コンディションを整えているところだったんだ。アシスタントコーチのコーリー(ゲインズ)は、彼を外に出したほうがいいのでは?と言っていたけど、そんなことはないと思っていた。というのも彼は、とても賢い選手でアングルをうまく使ってプレーできるし、密集地帯でもリバウンドを奪う力がある。それは長らく日本になかったものだ。世界トップクラスのビッグマンと争ってリバウンドを取れるのは素晴らしいことだよ。正直なところ、まだ彼は3Pシュートを決めていない。それも待っているよ。とにかく今日はよく頑張ってくれた」

Q.次のオーストラリア戦では勝ったほうがグループステージ2次ラウンドに進出という勝負になります。

ホーバス「アジアカップでもワールドカップ予選でも本当にいいゲームだったけど、我々は敗れている。彼らは世界トップクラスのチーム。サイズもパワーもあるしね。それでも彼らに負けるわけにはいかない。リバウンドで競り勝つ必要があるし、明後日は今夜以上のシュートを打つ必要がある。もし自分たちのプレーができ、ペースを作ることができれば、チャンスはあると考えている。我々は勝つためにここにいるんだ。だから当然、彼らを軽視することなんてない。素晴らしいチームだし、ゴージャンHCも素晴らしいコーチングをしている。今日、タフな試合に敗れているからよりハングリーな気持ちで来るはず。全力で来る彼らのパンチに対してカウンターを狙わなければならない。アジア予選の時とはまったく違うチームとなっているから、今日のようなプレーをする必要がある。40分間ハードに、自分たちのプレーをしなければならない」

<日本語Q&A部分>

Q.4Q最初に富永選手が3Pシュートを決めてから、相手のディフェンスが変わりましたね。そこから河村選手、ホーキンソン選手が活躍してという展開になりました。それらの要因は何だったのでしょうか?

ホーバス「いつも言うけど、オフェンスバランスなんですよ。3Pシュートとペイントアタック、それとフリースロー。今日はフリースローすごかったじゃないですか。34本も打った(27本成功)。今日のオフェンスバランスは最高でした。今までは3Pシュートが全然入らなかったから、ペイントにあまりドライブもできなかった。だけど富永、河村がホットになったことでペイントが空きました。ジョシュのスリップも決まるようになった。ちゃんとオフェンスのバランスが取れるなら、相手にプレッシューをかけられる。そういうバスケをやりたいです。簡単に言うけど、オーストラリアはめっちゃ強いから難しいかもしれない。けど、私たちは信じています」

河村、富永の「ポテンシャルはすごく高いです」

Q.前半の比江島選手のパフォーマンスが素晴らしかったですね。前に彼は経験があるとおっしゃっていました。具体的にはどんなところが素晴らしいのでしょうか?

ホーバスHC「彼はディフェンスも、ゲームのペースも読める。だから、うちの弱い部分を補っていました。ドライブもよくやってくれた。前半はあのプレイがなかったら、負けていると思います。後半はスタートでした。全然悪くなかったけど、18点差になったのでディフェンスよりスコアリングのロスターにしたほうがいいと思って富永を入れました。そしたらホットになって最後まで富永を使いました。それでも比江島も本当にいい仕事をしました」

Q.ドイツ戦の後に河村選手と富永選手はまだまだやれると言っていましたね。2日後に結果を出しました。

ホーバス「2人のポテンシャルはすごく高いです。めっちゃ高いです。でも、相手が大きいし早いし強いから、簡単にできないんですよ。でもスロベニア戦やフランス戦も経験したし、ドイツ戦の経験もあって、すごくよかったですね。僕はすごく待っていた。河村と富永、いつ爆発するかと思っていました。本当に今日良かったです。できますよ、もう。(隣にいる富永に向けて)もう明後日も頼むよ!」

富永「頑張ります」

ホーバス「23歳でしょ、これからだよ」

Q.富永選手、ドイツ戦はディフェンスを考慮してのベンチスタートでした。今日はディフェンスも素晴らしかったですが、どうフォーカスしたのでしょうか?

富永「とりあえず、今日はオフェンスどうこうより、ディフェンスから入ることを意識していました。ディフェンスでチームに勢いを乗せたというのも、本当にすごく良かったです。いつも以上にディフェンスにフォーカスしてはいました。そうですね。腕の広げ方だとか、一つ一つ意識してやっていました」

Q.河村選手と富永選手、若い2人が勝利に導いたというのは大きな意味があると思います。その辺り、どんな風に感じてらっしゃいます。

富永「自分たち2人とも経験はないんですけど、エネルギーを出してチームを勝利に導けたことはすごくうれしかったです。これからの自分たちのバスケット人生においても、すごく成長するための試合になったのではないかなと思います」

Q.河村選手についてはいかがですか?

富永「4Qの大事な場面で立て続けに3Pシュートを決めてくれて本当に頼もしかったですし、あの3Pで相手の気持ちが切れた部分があったと思うので、すごく楽しかったです」

Q.今までの日本の国際大会、世界大会で98点は最高です。ハイスコアが取れるようになった理由はなんですか?

ホーバス「シュートがやっと入りました。あのさっきの話と一緒です。バランスが必要で外が入ってペイントで成功率も高かった。どうして取れたかというと、ローポストの1対1ではなくて外からのドライブ、ビッグマンのスリップだとかというバスケットをやっとできたからです。後半62点はすごいと思います、富永が熱くなってきて比江島も熱くなってモメンタムがウチのものになった。河村もよくよく頑張りました。あれはBリーグで見せる河村でした。3Pシュート、ドライブ、フローティングとか、ずっと自信は保っていたけど、今日は本当にいい経験になったと思います。富永にとってもね」

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