【レビュー】押さずに引くシャープペンシル『topull S(トプルS)』のあり得なさは、構造ファンを魅了できるか

くるっと手首を返して持ち替えて、親指でノックする。そうした通常のシャープペンシル(筆記具全般)の構造を覆す、"引いて芯を出す" 『トッププルシャープ topull S(トプルS)』 を、構造好きの筆者が実際に試してみた。

手首を疲れさせることなく芯を出し、アクションを減らしてタイパを稼ぐ新構造

いままでもシャープペンシルの芯を出す方法には、ボディ部分を軽く折り曲げるボディノック式などが存在した。その構造は筆者も好きだったのだが、いかんせん通常のクリック式に比べて選択肢が少ない。

そんな中、 サンスター文具 がシャープペンシルの芯の出し方の新たな構造を生み出した。それが 『トッププルシャープ topull S(トプルS)』(0.5mm・全8色・税込396円・2023年8月発売) である。

「引いて芯を出す」とは一体どういうことなのか。これはもう実際に試してみたい。

『topull S』の使用感/身に染みついた親指ノック習慣を消去せよ

本体はABS樹脂を主に使用した、軽量タイプ。シンプルなフラットデザイン。ただ親指でノックしようとしても、何もそこには存在しない。ボディの先端に近い部分をよく見ると切れ込みが。なるほど、ここをスライドさせれば良いのか。

人差し指と中指を引っ掛けて、親指でホールドしながら、引く!

とは言え、親指で軽くスライドさせられるほど、スイッチは軽くない。そこで軽くペン先手前の部分に、人差し指と中指を引っ掛けて引くのだという。

これはちょっと難しい。確かに手首は使わないし、通常の「手首を大きくひねって」→「本体を持ち替え」→「親指でノック」の3段階が必要なところを、「2本の指を引っ掛けて」→「引く」という2段階で済む。

しかし最初は力の入れどころに苦労してしまった。なぜならスイッチを引くためには、親指と人差し指の付け根で、しっかりホールドしないといけないからだ。何度かチャレンジし、普段シャープペンシルでは使用しない筋肉を使用して、マスターする。気がつけば手首をひっくり返そうとする本能と闘いながら。

消しゴムは付いててほしかったかな

コツはおそらく、手のひらを収縮させるように動かすことなのだろう。はじめての構造だけに戸惑ったが、できればちょっとうれしい。こうした手先のメカニカルで体験したことのない動きとは、そう簡単に出会えないからだ。

あえて言うなら、ホールドする部分にすべり止めがあると楽だと思うし、本体に重みがあればもっとやりやすいと思う。しかし新構造への挑戦は、やはり楽しい。できれば誰かに、「それ一体どうやって芯を出しているの?」と聞かれてみたい。

カラバリはブラック・ネイビー・レッド・ホワイト・ブルー・ベージュ・ミント・バイオレットの全8色。

入手は全国の文具取扱店やオンラインショップで可能だ。

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