【インド】食品高騰8月で収束か、供給回復で是正=中銀[金融]

インド準備銀行(中央銀行)は、8月上旬に開催した金融政策決定会合に関する議事録を公開し、7月から8月にかけて物価全体(ヘッドラインCPI=消費者物価指数)が大幅に上昇する可能性があるとの見解を示した。トマトの高騰が野菜全体に波及する恐れもあるとした一方で、供給の逼迫(ひっぱく)が緩和されれば速やかに是正されるとみている。

準備銀のダス総裁は議事録で、「世界の経済環境は引き続き不透明で、金融情勢は依然として不安定だ」と振り返った。インド経済については、「(その中で)際立った安定性を保ち、予想通り推移している」と述べた。

具体的には、穀物の作付面積が昨年を上回ったほか、製造業は投資コストの緩和が後押しする形で拡大基調にあるとした。また、サービス業は2022/23年度第1四半期(4~6月)も好調で、年度内は勢いを維持するとみている。国内総生産(GDP)成長率のけん引役ともなる個人消費については、農村部で回復の兆しがみられ、安定していると指摘した。このほか、政府の設備投資が下支えとなって、州政府にも勢いがあるとした上で民間部門の投資の加速につながると好循環を強調した。

一方で、懸念事項として、インフレ圧力の高まりを挙げた。CPI上昇率は今年に入って、1月の6.5%から下降基調をたどり、5月は4.3%にまで低下した。だが、7月は野菜の高騰の影響で7.4%に跳ね上がった。ダス総裁は、モンスーン期(雨期)に少雨をもたらすとされるエルニーニョ現象が発生したほか、世界的な食料価格の変動などがインドの物価上昇を見通すに当たってリスクとなっていると分析。「食料ショック(食品価格の急騰)」が経済全体の物価上昇に悪影響を及ぼさないよう、継続して監視を続けていくとした。

政策金利についても言及し、過去3会合は据え置きとしたが、昨年5月からの累計2.5ポイントの引き上げがまだ、民間銀行の貸出金利や預金金利に到達していないとし、コロナ禍を乗り切るための緩和策の「撤回(金融引き締め)」姿勢を維持する考えを明らかにした。

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