「もっといろんな使い方できるように…」地域の課題“放置竹林”問題を解決する『浜松メンマ』【SDGs】

浜松市西区のレストランではオリジナルのメンマを販売しています。このメンマは全国的にも深刻化しているある問題を解決すべく開発されました。地域の「課題」を地域の「資源」に変えるその方法とは。

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<G.D.S 岩崎真英さん>
「お待たせ致しました、こちらが『浜松メンマ』でございます」

<山口駿平記者>
「ありがとうございます。すごい良い匂いですね」

肉厚でサイズも大きなこちらのメンマ。

<山口駿平記者>
「いただきます。歯ごたえがあって味は竹というかタケノコの味が残っていて、おつまみにもぴったりかもしれません」

販売しているのは浜松市西区大久保町のレストラン「Cocochi(ココチ)」です。

「浜松メンマ」と名付けれらたこのメンマ、原料は店のすぐ隣にある山の斜面に生えた竹です。「Cocochi」のすぐ隣にある竹林は、近年、人の手が入らず竹が増え続け、文字通り「放置竹林」となっていました。

<G.D.S 岩崎真英さん>
「ご覧いただくと竹がたくさんあります。もしもここでメンマを作っていなかったら竹林の密度はずっと上がって、竹の倒壊、地滑りの原因になっていたと思う」

竹は土壌の浅い部分で根を張ります。そのため、あまりに多くの竹が生えていると、地滑りを起こす危険性があるといわれています。さらに、市内に散在する竹林は浜松市が抱える悩みを増幅させる恐れがあるといいます。

<G.D.S 岩崎真英さん>
「農作物に対しての害獣のすみかになってしまいます」

近年、浜松市で増殖し続けている外来生物のヌートリア。農作物などへの被害が確認されていますが、ヌートリアにとって放置竹林は格好のすみかとなります。

そこで、生まれたのが「浜松メンマ」でした。

<G.D.S 岩崎真英さん>
「ただ単に放置竹林の害をどう排除するかということよりも、竹を原料、生産物として活かすことはできないかというところから(メンマ事業は)始まりました」

この「浜松メンマ」、作り方にも普通のメンマと違う特徴があります。

<G.D.S 岩崎真英さん>
「あちらの竹林から発見された弊社オリジナルの乳酸菌でこれを発酵させてメンマにしております」

メンマは一般的に、外部で培養した乳酸菌を使って発酵させます。一方、「浜松メンマ」に使われている乳酸菌は竹から抽出されたもので、2017年、大久保町固有の乳酸菌であることが認められました。「浜松メンマ」は過剰に生えてしまった竹のあらゆる部分を使った食品なんです。

「浜松メンマ」を販売する「Cocochi」は放置された竹林を有効活用する方法を模索。メンマの他にも竹を粉砕した「竹パウダー」をピザの生地に練り込むなどの活用をしています。「竹パウダー」には食物繊維が豊富に含まれているそうです。

「Cocochi」を運営する会社は竹の活用の推し進めることで、竹林の価値を向上させることを目指しているといいます。

<G.D.S 岩崎真英さん>
「もっといろんな使い方、いろんな食べ方、いろんな楽しみ方ができるようにしていけば、”放置竹林問題を解決するためのメンマ”というよりも、『我々もメンマ事業をやりたい』という方が増えていけば自ずと放置竹林問題そのものがなくなってしまいますので、我々はそこを目指したいと思っています」

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