熱中症搬送、過去最多 県速報値・912人、65歳以上が6割

県内で熱中症の救急搬送者数が過去最多となり、山形十中では多くの生徒が搬送された=24日、山形市

 連日酷暑が続く県内で、今年の熱中症による救急搬送者数が912人(速報値)に上り、過去最多となったことが28日、県への取材で分かった。総務省消防庁の基準による集計の死者は3人だが、米沢市の女子中学生や、朝日町で除草作業中に倒れた20代男性の死亡も確認されている。山形市内の中学校で集団搬送事案が発生するなど「災害級の暑さ」は深刻な状況だ。

 県は同庁の基準に沿って県内各消防本部を通じ、例年おおむね5月から9月末まで、熱中症の救急搬送者数を集計している。県消防救急課によると、2008年の調査開始以降、今年は8月27日現在で912人となり、年間最多だった19年の770人を既に上回っている。65歳以上の高齢者が553人で6割を占め、軽症が565人で最も多く、中等症205人、重症33人、死亡3人、その他(程度不明など)106人となっている。

 発生場所は庭を含む「住居」が433件で最も多い。室内で冷房を使っていない事例もある。特に最高気温が体温より高い37度超が続いた同21~27日の週は149人(速報値)に上った。山形市で同24日、体育祭の練習中に13人が救急搬送されるなどした山形十中のケースが含まれる。

 同課によると、同庁の基準では救急搬送後、医師の初診での状況で軽~重症、死亡などを計上。この基準の死者は27日現在3人で、寒河江市の70代男性、真室川町の80代女性、村山市の80代女性が亡くなっている。米沢市で7月28日、部活動後の下校中、道路で倒れ、搬送後に死亡した女子中学生は重症として計上されている。

 環境省と気象庁による「熱中症警戒アラート」の対象は本県で今年、既に過去最多の20日。山形地方気象台の担当者は「今後1週間も厳しい暑さが続く見込み。こまめな水分補給など十分な対策をしてほしい」と呼びかけている。

熱中症疑いで県内6人搬送  県内各地で猛暑日や真夏日を記録した28日、各消防本部によると、午後5時までに熱中症の疑いで、30~90代の男女計6人が救急搬送された。いずれも軽症とみられる。

 酒田市では60代男性が、頭痛やめまいなどの症状で運ばれた。尾花沢市では60代男性が、発汗や口の渇きを訴えた。いずれも自宅からでエアコンは使用していなかった。他に上山や舟形を含む計4市町の計4人が搬送された。

© 株式会社山形新聞社