新1万円札より先に“増札”…深谷市で「お札の名刺」誕生 肖像部分は似顔絵、透かし部分にふっかちゃん

話題を集めている、来夏発行の新1万円札を模した名刺の表と裏の部分

 「物は買えません。名刺です」。新1万円札の肖像になる渋沢栄一の地元、埼玉県深谷市の小島進市長は、新1万円札をデザインした“お札の名刺”を考案し、公務で使用している。人気も上々で、「新札が出るまでは、これ(名刺)で盛り上がりたい」と手応えを感じている。

 2024年7月をめどに発行する新しい1万円札の機運を高めながら、同市もアピールしていく作戦の一つ。

 名刺の表面は新札の肖像が入る部分に似顔絵、「10000」の数字と、その下に所属部署と氏名を入れる。透かしの部分は市イメージキャラクター「ふっかちゃん」を入れた。深谷ならではのネギやトウモロコシ、ユリなど主力農作物もあしらった。

 裏側の透かしは、川本地域に縁がある鎌倉武将、畠山重忠のキャラクター「しげただくん」で、右に市役所本庁舎、左が栄一と関係が深いれんが造りのJR深谷駅舎をデザイン。「オール深谷」を凝縮した名刺に仕上げた。

 名刺は市内の業者が製作している。7月中旬から使用を開始し、“増札”するほど好評だ。25日現在、約400人に手渡し、相手の笑みを誘っている。“お札の名刺”は有料だが職員も使え、新札のPRに一役買っている。

 深谷商工会議所やふかや市商工会も興味を示しているという。小島市長は「企業が営業に行った時、栄一さんの話ができることは一つの武器で、チャンスにもなる」と期待している。

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