道路にセンサー設置! 6月に市面積の1/4浸水の越谷市、市道50カ所で冠水把握へ 通行止め状況をHP掲載も

道路冠水センサーの設置イメージ。大きさは約10センチ四方=28日午後、埼玉県越谷市越ケ谷

 6月の台風2号接近に伴う記録的な浸水被害を受けた埼玉県越谷市は28日、道路上の冠水状況を検知できるセンサーを市道50カ所に設置すると発表した。市はインターネットシステム経由で冠水状況をいち早く把握し、通行止めなどの対応につなげる。来月1日開会予定の市議会9月定例会に、システム構築料や光熱費など関連費用1330万円を盛り込んだ2023年度一般会計補正予算案を提案する。

 冠水センサーは、歩車道境界ブロックや縁石の上部(高さ15センチ)と側面(同5センチ)の2カ所に設置。高さに達した水を感知すると、周辺の電柱に取り付けた受信機へ情報が送られ、インターネットシステムを介して市に冠水状況が届く仕組み。高さ5センチ時点で注意喚起を促し、通行止め基準の15センチ到達時には、速やかに交通規制の準備や手配に取りかかる。市の災害情報管理システム上に通行止め区域を色分けして表示し、市民は災害時に市ホームページから確認できる。情報は警察や消防とも共有する。

 これまで集中豪雨などで道路冠水の恐れがある場合は、職員の現地パトロールや市民の通報などで現場の状況を把握してきた。しかし近年の線状降水帯の発生などによる突発的な豪雨に対応するため、センサー導入を決めた。過去の被害状況と照らし合わせて本年度中に、冠水の恐れがある市道50カ所に取り付ける。

 県によると、県管理のアンダーパス13カ所中11カ所で同様のセンサーが設置されている。水路や河川へ部分的に設置している地域もあり、同市道路総務課は「市内広域的な平面の道路などに限れば、県内初になるのでは」と話している。

 同日の記者会見で福田晃市長は「台風2号で市民からいち早く情報をほしいという声もたくさんあった」とし、「災害時は人手を多く取られるので、人に頼らないものを構築するためにセンサーを活用したい。なかなか事例がない取り組みなので今後も発展させたい」と述べた。

 6月の台風2号接近による市内の浸水被害は床上600件、床下2529件の計3129件。市の調べでは、15センチ以上の浸水域は約1510ヘクタールで市面積(約6024ヘクタール)の4分の1相当に及んだ。この時は市内15カ所が通行止めになった。近年の大雨による市内の通行止めは、2019年東日本台風の時が27カ所で最も多い。

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