シーボルトの音楽で聴衆を魅了 長崎出身ジャズピアニスト・平戸さんアレンジ 新大工商店街 夏まつり

ジャズにアレンジした楽曲を披露する平戸さん(右)=長崎市、新大工町

 長崎市出身のジャズピアニスト、平戸祐介さん(49)が26日、地元の同市新大工町商店街で、江戸時代の出島和蘭商館医シーボルトが残した音楽をアレンジした楽曲を初披露した。
 シーボルトは日本の生活で聴いた音を書き留め、作曲するなどしていた。初来日から200周年の今年、「シーボルト通り」がある同町商店街の振興組合が、平戸さんに楽曲のアレンジを依頼した。
 平戸さんはシーボルトが残した楽曲のうち2曲を約4分半の1曲に仕上げた。おだやかな市民性をイメージしてゆったりとした曲調にしたり、シーボルトが2度来日した際の長い航海の波や時代の波にもまれたことを想像し、拍子に表したりしたという。
 この日は、同組合主催の夏まつりの特設ステージで、長崎市を中心に活動するベーシスト、グラヴィ・田川・ティさん(48)と演奏。集まった市民はピアノの音色に合わせ手拍子をしたり、体を揺らしたりしながら聴き入った。ジャズバージョンの「長崎の鐘」なども披露され、温かい拍手に包まれた。
 シーボルトを研究している長崎純心大の宮坂正英客員教授も訪れ、「ジャズにするという新しい試みはとても良かった」と感想。平戸さんは「(新大工町と)疎遠になっていたが、シーボルトがつないでくれた」と語った。同組合と平戸さんは今後楽曲の活用を目指す。10月14日のシーボルト来日200周年記念式典(同市主催)でも演奏する。

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