荷主企業も一緒に改善を 「物流2024年問題」 社労士らが課題解説 長崎市内でセミナー

2024年問題の課題や対策について説明する縄本氏=長崎市桜町、長崎商工会議所

 トラック運転手への新たな労働時間規制に伴う「物流2024年問題」をテーマにしたセミナーが28日、長崎市内であり、社会保険労務士や長崎労働局の担当者らが、今後の課題や対応を解説した。
 24年4月から物流や旅客など自動車運転業務の時間外労働に年間960時間の上限規制が適用される。また運転手の拘束時間や休息期間などを定めた改善基準告示も改正になる。これにより運転手が稼働できる時間が短くなり、配送料の減少や人手不足などが懸念されている。
 長崎働き方改革推進支援センターの社労士、縄本裕俊氏は「物流事業者が仕事を選ばざるを得なくなり、(物流業界を)一緒に改善したいと考える荷主企業を優先するようになるだろう」と指摘した。今後、荷主企業にできる対応として▽着荷主と協力し納入指定時刻を緩和する▽納入の頻度を見直す▽運転手の「荷待ち」の時間を削減する-などを挙げ「荷主企業、物流業者が協力して、改善できることを話し合ってほしい」と呼びかけた。働き方改革を推進する中小企業向けの助成金制度も紹介した。
 セミナーは荷主企業、物流企業双方の理解を促そうと、長崎商工会議所運輸・港湾部会が開き、会員企業の代表者ら約50人が聴講。同部会副部会長で後藤運輸会長の牧文春氏は「物流業者にとっては大きな問題。来年に向けて何ができるかを考え、取り組んでいきたい」と述べた。企業が社員の健康管理を経営戦略に位置付ける「健康経営」についての講演もあった。

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