おむつ交換、トイレのベッド小さい・・・ 医療的ケア児らの外出時困難 長崎大・森藤教授らが調査

医療的ケア児らの外出時のトイレ環境について話す森藤教授(中央)=長崎市興善町、市立図書館多目的ホール

 たん吸引などの医療的なケアが日常的に必要な子どもらが家族と外出する際、公衆トイレにおむつ交換ができる十分な広さのベッドがないなどの困難に直面していることが、長崎大生命医科学域保健学系リプロダクティブヘルス分野の森藤香奈子教授と学生による調査で明らかになった。また多機能のトイレはニーズが集中するため、森藤教授は「異なる機能のトイレが複数あることが望ましい」としている。
 在宅医療の開業医らでつくる「長崎在宅Dr.ネット」が19日に長崎市内で開いた公開講座で説明した。2019年7~8月、医療的ケア児ら排せつ介助を必要とする障害児・者の保護者195人に郵送でアンケートを実施。28%の55人から回答を得た。子どもの年齢は1~44歳と幅広い世代に渡った。
 通学や買い物など外出時のトイレ関連で困ったエピソードとして「おむつ交換をできる場所がない」が最多の46件。このうち「(トイレに設置してある)ベビーベッドは(小さく)交換ができない」が29件に上り、子どもが3歳以上の保護者の記述が多かった。続いて、トイレが見つからなかったり混雑したりして「数が足りない」(15件)、移動・移乗の困難や障害特性による困難など「介助者側の要因」(11件)などだった。
 具体的な対応として後部座席をフラットにするなどして「車の中でおむつ交換」が28件。手足がベッドからはみ出すため別の介助者に支えてもらいベビーベッドで交換したり、外出そのものを控えたりしているケースも少なくなかった。
 必要な支援として大型のユニバーサルベッドや、車いすや荷物を考慮した十分な介護スペースのほか、障害者用トイレの場所や各施設の設備など詳しい情報を求める意見が目立った。
 森藤教授は、設備が集中している多機能トイレのニーズが増しており、次の利用者を意識するあまり家族が落ち着いて子どもの介助をできない状況があると説明。「一部機能を一般のトイレに設置するなどしてニーズを分散し、利用者が用途に合わせてトイレを選べることが重要」と主張した。

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