【バスケW杯】男子日本代表、アジア勢1位で8/29に強豪オーストラリアに挑戦 – パリオリンピック出場権争い詳報(8/28終了時点)

8月25日の開幕から最初の4日間の日程を終えたFIBAバスケットボールワールドカップ2023で、27日にフィンランドを倒した男子日本代表が、アジア勢6チーム中のトップに立っている。今大会では来年のパリオリンピックへの出場権が各地区の上位チーム(アメリカ地区とヨーロッパ地区の上位2チーム、アフリカ地区とアジア地区、オセアニア地区の最上位)に与えられることになっており、日本はこの位置を維持できれば、パリへの切符が手に入る。

日本は今日29日にFIBA世界ランキング3位で東京2020オリンピックの銅メダリストであるオーストラリアと対戦するが、この試合で勝利を挙げてベスト16入りを決められれば、上記のパリオリンピック出場権争いで頭一つ抜け出せる可能性が高い戦況だ。

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☆アジア勢6チームのオリンピック出場権争い 8月28日までの日程終了時点
※表記は順位、チーム名、勝敗(得失点差)

1. 日本 1勝1敗(-8)
2. フィリピン0勝2敗(-16)
3. ヨルダン0勝2敗(-29)
4. イラン 0勝2敗(-43)
5. 中国 0勝2敗(-62)
6. レバノン0勝2敗(-94)

上記の6チーム中、ベスト16入りの可能性を残しているのは日本のほかフィリピン(グループA)と中国(グループB)。以下、各チームが置かれた状況を試合経過とともにまとめる。
※チーム名右のカッコ内はFIBA世界ランキング、グループ順位は28日の日程終了時点

1. 日本(36) 1勝1敗(グループE3位)
8/25 63-81ドイツ(11)
8/27 98-88フィンランド(24)
8/29 vs.オーストラリア(3)

ヨーロッパ勢からの世界大会における史上初の勝利を、最大18点差からの劇的な逆転でつかみ取った日本は、27日にドイツに敗れたオーストラリアと並ぶ1勝1敗で現在グループE3位。29日はそのオーストラリアとの直接対決で、勝った方がベスト16入りをかなえるという戦況だ。

日本の男子バスケットボールの歴史上非常に大きな意義を持つ勝利を挙げた8月27日のフィンランド戦で、特に前半チームをけん引した比江島 慎(写真/©FIBAWC2023)

現時点ではフィリピンと中国にベスト16入りの可能性が残されているため、日本のベスト16入りが即アジア1位を確定できる要素ということではない。逆に日本がオーストラリアに敗れると、フィリピンか中国のどちらか一方でもベスト16入りを決めた時点でアジア1位の座を目指す戦いが終止符を打つという可能性も、そう高くはないものの現実としてありうる。また、可能性としてはフィリピン、中国ともベスト16入りが遠のいている状況であり、日本は仮にオーストラリアに敗れるとしても、点差を限りなく少なくして次のステップに進む必要がある。

2. フィリピン(40) 0勝2敗(グループA4位)
8/25 81-87ドミニカ共和国(23)
8/27 70-80アンゴラ(41)
8/29 vs.イタリア(10)

グループAはカール=アンソニー・タウンズを擁するドミニカ共和国が2勝を挙げてトップに立ち、イタリアとアンゴラが1勝1敗で並んでいる。まだベスト16入りの望みはどのチームにも残されており、勝ち星のないフィリピンも、29日にドミニカ共和国がアンゴラを倒し、かつフィリピン自体がイタリアに12点差以上で勝利すればグループAを勝ち抜けできる。

NBAで活躍するジョーダン・クラークソンやキーファー・ラベナ、カイ・ソット、ドワイト・ラモスらBリーグのスターをそろえたフィリピンは、ここまでの2試合いずれもかなり競った展開で、2敗を喫したとはいえグループAで実力的に大幅に劣っているわけではない。29日はまず、先行して行われるアンゴラvs.ドミニカ共和国の一戦の結果に注目ということになるが、その上で世界のトップ10に入る強豪イタリアにフィリピンがどんな戦いを見せるか注目だ。

今大会最初の2試合で平均24.5得点、5.0リバウンド、7.0アシストと活躍しているジョーダン・クラークソン。しかしフィリピンはいまだ白星なしという状況だ(写真/©FIBAWC2023)

3. ヨルダン(33) 0勝2敗(グループC4位)
8/26 71-92ギリシャ(9)
8/28 87-95ニュージーランド(26)
8/30 vs.アメリカ(2)

グループCはアメリカとギリシャが2勝ずつを挙げてすでにベスト16入りを決めている。ギリシャとニュージーランドに連敗を喫したヨルダンは、今後の試合で全勝したとしても最高で17位までしかいけないということになる。グループC最終日の30日には、優勝候補アメリカと対戦予定。他グループのアジア勢がベスト16入りを決めない限り、1次ラウンド終了時点でオリンピック出場権争いが終わることはないが、非常に厳しい戦況であることは間違いない。

4. イラン(22) 0勝2敗(グループG4位)
8/26 59-100ブラジル(13)
8/28 69-71コートジボワール(42)
8/30 vs.スペイン(1)

初戦でブラジルに大敗を喫したイランは、終盤までもつれる接戦となったコートジボワールとの2試合目も落とし、白星なしのままグループG最終日の30日にFIBA世界ランキング1位のスペインとの難しい試合に臨むこととなった。コートジボワール戦は、69-68とリードして迎えた第4Q残り6秒にベンチテクニカルを取られてフリースローで逆転を許すという非常に残念な終わり方。結果としてベスト16入りの望みも絶たれてしまった。

5. 中国(27)
8/26 63-105セルビア(6)
8/28 69-89南スーダン(62)
8/30 vs.プエルトリコ(20)

アジア地区予選の途中から、世界大会での実績が豊富なセルビア人コーチ、アレクサンダル・ジョルジェヴィッチを招へいし、今大会開幕直前にはNBAで活躍するカイル・アンダーソンが中国国籍を取得してロスターに名を連ねる(今大会での登録名はリー カイエ[李 凱爾])など、中国は注目すべき話題を提供するチームだった。しかし初戦でジョルジェヴィッチHCの祖国セルビアに大敗を喫し、2試合目でも初出場の南スーダンに20点差の敗北。ここまでは期待された成果を手にすることはできていない。

30日にセルビアが南スーダンに勝ち、中国がプエルトリコに勝てば、プエルトリコと南スーダン、中国の3チームが1勝2敗で並ぶことになるので、28日終了時点ではまだ中国が上位2チームに入る可能性がわずかながら残っている。ただ、得失点差が-62の中国が、最後の1試合で同+15の南スーダン、同-12のプエルトリコの上位に立つのは至難の業だ。

NBAではカイル・アンダーソンとして知られる中国のリー カイエ(写真/©FIBAWC2023)

6. レバノン(43) 0勝2敗(グループH4位)
8/25 70-109ラトビア(29)
8/27 73-128カナダ(15)
8/29 vs.フランス(5)

欧米の強豪3チームと一緒のグループHに入ったレバノンは、最初の2試合で合計237失点を喫する非常に厳しい戦いを強いられている。このグループは、優勝候補の一角とさえ言われていた東京2020オリンピック銀メダリストのフランスがベスト16入りを逃すという波乱含みの展開だが、レバノンが29日のグループ最終戦で対戦するのがこのフランスだ。フランスとすれば、パリオリンピック開催国のプライドもかかってくる1次ラウンド最終戦。レバノンにとってはあまり好ましい相手ではなさそうだ。

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