たたら製鉄 名刀生んだ文化に理解 砂鉄から鋼へ 瀬戸内で親子体験会

炎を上げる炉に砂鉄を入れる子どもたち

 日本刀の材料となる鋼を昔ながらのたたら製鉄で作る体験会が27日、瀬戸内市内で開かれ、親子連れ約40人が、名刀を生んだ同市長船町地域の鉄文化への理解を深めた。

 同市長船町磯上にある刀匠・満足弘次さんの鍛錬場に、れんがや赤土、山土で作った高さ約1.5メートルの炉を用意。子どもたちは満足さんや金工師・片山重恒さん=同市=ら刀職の説明を受けながら作業した。

 8月上旬に吉井川上流の鏡野町で採取した砂鉄を10分おきに1キロずつ投入。5時間ほどかけて砂鉄約30キロと木炭約100キロを交互に詰めた。中心部の温度は1500度まで上昇。炉の底に開けた穴から鉄の不純物を取り出す作業もしながら、合計8時間ほど熱した後、炉を解体すると、真っ赤になった約8キロの鋼が現れた。

 岡山市立平島小6年の男子児童(12)は「砂鉄は重くて炉に入れるときは熱くて大変だった。昔の人がとても苦労して刀を作っていたのが分かった」と話していた。

 体験会は瀬戸内市民有志でつくる「せとうち発見隊」が企画。10月には今回できた鋼でお守りを作る。

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