待ちに待った三重県の熊野大花火大会。
ついに4年ぶりの完全開催の日を迎え、打ち上げの時間が刻一刻と迫ってきました。
これまで2度の延期に見舞われ、地元をはじめ多くの人がやきもきしました。
約1万発の花火。
その伝統を300年余りつないできた三重県熊野市。
大海原を目前に堪能する花火絵巻=熊野大花火大会です。
例年、市の人口の10倍以上、約17万人が全国から訪れるといわれていますが…。
ことしは29日までに2度の延期に見舞われました。
(名阪近鉄旅行 ツアー企画部 田中圭子課長)
「本当にショック。いつになったら行けるのかという状況で、申し込みを変更してもらっている」
コロナの影響で4年ぶりの完全開催となる今回。
当初は例年通り8月17日が開催予定日でしたが…。
(名阪近鉄旅行 ツアー企画部 田中圭子課長)
「8月17日は1158名のお客さん全員がキャンセル」
名古屋の旅行会社が企画したバスツアーはほぼ完売していたにもかかわらず、台風7号の影響で花火大会は8月22日に延期になったのです。
ところが22日も高波の影響で、打ち上げの準備が安全に行えないなどの理由で延期に。
地元の熊野市でも衝撃が…。
(ホテルなみ 向山佳伸さん)
「140人のキャンセルが出ている。影響も甚大」
こちらのホテルの8月17日の予約は当初、76ある客室全てがうまっていたのに、約60室がキャンセル。
また、花火大会にあわせて帰省した人も意気消沈…。
(東京から帰省した女性)
「帰省と花火も兼ねて来た。花火も楽しみにしていたが、残念な気持ちが少しある」
さらに、会場近くの釣り具店の店主は特別な思いで開催を待ちわびていました。
(フィッシング嶋勇 嶋俊二店主)
「通常の5倍くらい(飲料水を冷やす氷を)仕入れている。延びたのは残念だが仕方ない。初盆なんですよ。妻が、ことし亡くなった。妻が花火が好きだったから余計複雑な気持ち」
「二度あることは三度ある」と言われますが…。
(熊野市観光協会 中平孝之会長)
「(3回目の延期は)全く考えていない。29日には確実にやれるものだと思っている。夏の終わりのイベントとして、ぜひ見ていただきたいと思う」
そして29日朝早く、開催が正式決定された熊野大花火大会。
午前中からアマチュアカメラマンの姿が。
(アマチュアカメラマン)
「きのうの朝から(場所取りに)来てます。世界遺産の獅子岩と撮るとなると、ここしか場所がないので、必ず千輪を絡めて撮りたいという目的で来てます」
また、会場の七里御浜海岸でも待ちわびる人たちが…。
(見物客)
「きのうの(午後)5時ごろ来た」
「なんとか休みを取り直して(来ました)」
熊野市駅前にある土産物店では。
(買い物客)
「今回が初めてです。デザインが良いもんね」
人気は1枚3000円の花火大会の公式Tシャツです。
このように見物客の出足は好調のように見えますが…。
(熊野市観光協会 中平孝之会長)
「もう少し人がいてほしい」
2度の延期は運営側には影響が大きかったといいます。
(熊野市観光協会 中平孝之会長)
「きょうは本当はボランティアの方が6名来る予定だったが、(延期で)日にちが変わっちゃったんで。お仕事とかになってしまって、駄目になっちゃった」
最大70人ほどを予定していた、運営を手伝うボランティアが都合がつかなくなり、わずか13人になってしまったということですが、打ち上げの準備は着々と…。
見所は世界遺産に登録される岩場=鬼ヶ城から扇状の花火が打ち上げられる、その名も「鬼ヶ城大仕掛け」です。
船から岩場に上げられ、ずらりと並んだ筒が“その時”を待っています。
熊野大花火大会は29日午後7時過ぎから、いよいよ始まります。