<社説>オスプレイ墜落 国は即時飛行停止求めよ

 オーストラリアで米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが墜落し、3人が死亡した。海兵隊仕様のオスプレイはクラッチに故障が起こる可能性が判明しており、米軍は対策を施したとしていた。今回の墜落原因は判明していないが、事故の頻度があまりにも高すぎる。MV22は普天間飛行場にも配備されており、直ちに飛行を停止するべきだ。日本政府は強く飛行停止を要求する必要がある。 今回の事故はオーストラリア北部ダーウィン沖にあるメルビル島で起きた。合同訓練に参加中の機体には23人が搭乗し、3人が死亡。5人が重傷、うち1人は重体と報じられた。

 MV22は昨年6月、米カリフォルニア州で墜落し、兵士ら5人が死亡。この事故について米海兵隊はエンジンと回転翼をつなぐクラッチに作動不良が起こったとする調査結果を7月にまとめている。

 作動不良は「ハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)」と呼ばれる現象で、クラッチが滑り、その後に再結合した際に発生した。片方のエンジンが故障し、もう一方のエンジンから電気を供給するシステムも壊れ、回転翼の推力が失われるという。根本的な原因は不明のままだ。

 HCEについて米海兵隊は部品の交換などで発生する可能性を「99%減らした」と説明している。普天間所属機は飛行を続行した。

 オーストラリアでの事故機は在日米軍の機体ではないというが、所属や県内への飛行履歴は不明のままである。いずれにせよ、クラッチのトラブル発生の可能性が判明している海兵隊仕様のMV22であり、調査結果を受け、海兵隊は対策を施していたはずだ。それなのに墜落した。開発段階から指摘されている構造上の問題が強く疑われる。

 沖縄ではそのMV22が運用を続けている。玉城デニー知事は海兵隊がHCEの根本原因は不明としていることを念頭に「欠陥の存在そのものについての疑念は払拭されない」と警戒感を示した。県は今回の事故を受け、原因を見極めた上で飛行停止を求めることも検討するという。直ちに求めてもらいたい。

 日本政府は7月の調査報告を受けて海兵隊のMV22について「安全対策がとられた」と米軍の説明を評価し、飛行停止を求めることはなかった。今回のオーストラリアでの事故を受けても同様の理由を挙げ、飛行の停止を求める考えはないという。

 普天間所属機は2016年に名護市安部、17年にはオーストラリアで墜落している。

 重大事故が発生してからでは遅い。これだけ事故を繰り返す機体が普天間飛行場に配備され、住宅地上空を飛行する運用を続けているのだ。

 県民の懸念は強まっている。県は直ちに飛行停止を求めるべきだ。日本政府も対応を改め、沖縄の不安に向き合ってもらいたい。

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