いつの間にか前傾姿勢になってしまう人へ

自分ではまっすぐなつもりなのに「前傾してますよ」とインストラクターからアドバイスを受ける乗り手の方も多いのではないでしょうか。この記事では、前傾姿勢になりやすい乗り手の方に向けて、前傾姿勢が与える悪影響などについて、ご紹介します。

なぜ基本姿勢が保てない?

乗馬の基本姿勢は頭、肩、腰、かかとが一直線上にある姿勢です。どんなときもこの姿勢を保つことが理想とされています。

まず、騎乗をしたら基本姿勢をとれるように体をほぐすことから始めます。馬上運動で、上半身や股関節、脚をほぐしたら、坐骨を立てるようにして鞍に座ります。そのときに、鏡で頭、肩、腰、かかとが一直線になっているか、確認しましょう。

ここまでは、問題なく基本姿勢をとれる方も多いと思います。しかし、軽速歩で立ったり座ったりを繰り返すと、いつの間にか前傾姿勢になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

主な原因に

  • 恐怖心
  • 馬(下)を見てしまう
  • 背中が丸まってしまう
  • 脚が安定していない

が挙げられます。これらが複合的に重なって前傾姿勢になってしまっていることが多いようです。

基本姿勢を保つためには?

恐怖心については、信頼のおけるパートナーと一緒に焦らず克服していきましょう。ゆっくりした速歩から始めて、少しずつ歩度を伸ばしていきます。駈歩も同じようにゆっくりしたペースから徐々にペースを上げていきます。体がスピードに慣れてくれば、気付いたときには恐怖心を克服できているはずです。インストラクターに相談をして、いざという時にどのように対応すればいいのか、確認をしておくのもいいかもしれません。

馬を見てしまうと、自然と体が前傾してしまいます。最初のころは色々と気になってしまい、手綱を見たり、馬の反応を見てしまったりしますが、実は落馬の可能性が高まり、危険です。

ソフトアイを使うことを意識してみましょう。ソフトアイというのは、ほかの馬や周りの状況を把握できるような広い視野を持つということです。どこか一点を凝視するより、自然と視線が前を向くようになり、視線の低さが原因で前傾することもなくなります。

また、ソフトアイで周りの状況を把握しながら、騎乗できるようになると、ほかの馬が突発的な動きをしても対応しやすくなります。体の余分な力も抜けやすくなるそうですよ。是非、お試しください。

背中が丸まってしまうのは、楽な態勢で騎乗しようとしているからだと筆者はよくインストラクターからアドバイスを受けています。へその下にある丹田と呼ばれるツボ(へそから指3〜4本分下にあります)に力をいれて、肩甲骨を寄せると自然に体がまっすぐになります。肩甲骨を寄せると胸も開くので、巻き肩の方にもおすすめの方法ですよ。

脚が安定していない場合、特にかかとがきちんと下げられないと、脚が後ろに流れてしまい、前傾しやすくなってしまいます。一完歩一完歩、馬の体が下に沈み込むタイミングで、下に踏みしめるようなイメージで鐙を踏み、股関節は力を抜きましょう。

どうしても力が入ってしまう方には鐙を履かない状態で騎乗する鐙上げという訓練方法もありますよ。脚に力が入っていると脚の柔らかい動きを妨げてしまい、下半身が不安定になります。鐙上げによって、脚に入っている余分な力が抜けた状態を体感してみましょう。その感覚を騎乗時に活かせるようになれば、前傾することも減ってくるでしょう。

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前傾姿勢が馬に与える悪影響

乗り手が前傾してしまうと、重心が前にかかってくるので、馬は走りづらくなってしまい、歩度を落としてしまいます。特に駈歩では、その傾向が顕著に現れます。馬の推進力は主に後肢から生み出されており、乗り手のバランスが後ろ気味の方が前傾よりは馬も動きやすいようです。もちろん、極端に後ろに倒れてしまうような姿勢もよくありません。

前傾姿勢が騎乗者に与える悪影響

前傾をしていると、落馬をする可能性が高まってしまいます。体を起こして、鞍にきちんと座れていれば、何かしらの衝撃があっても、広い面積で受け止めることができ、衝撃が分散されます。しかし、前傾をしていると衝撃を受ける面積が自動的に小さくなってしまい、落馬をしてしまう可能性が高まります。馬が前方につんのめるような動きをした場合や尻っぱねをした場合には、あっさり落ちてしまうことも。

また、前傾姿勢では視線も低くなりがちで、周りの状況も把握しづらくなってしまいます。騎乗の安全性を上げるためにも、、普段から体を起こす意識をしましょう。

何度も自分の姿勢をチェック

とはいっても…自分の姿勢は自分では分からないですよね。馬場に鏡があるのを見たことは、ありませんか。あれは、乗り手が自分の騎乗姿勢をチェックするために使います(たまに自分の姿を鏡でチェックしている馬もいますね!)。

騎乗したら、まず、鏡で姿勢のチェック。常歩の最中にもチェック。軽速歩に入ったら、もう一度、チェック、と、こまめに自分の姿勢を鏡で確認しましょう。また、友人やインストラクターにお願いして、騎乗時に動画撮影をしてもらうのもいいアイデアです。

まっすぐだと思っていても、前傾していることはよくあります。自分のまっすぐの感覚より、少し後ろに体を起こすくらいが、ちょうどいいのかもしれません。

また、バランスにうるさい馬とパートナーを組んだときにチェックする方法もあります。ゆっくりめの軽速歩で、明らかに前傾しているところから、少しずつ体を起こしていきます。そのときに馬の反応も確認しましょう。前傾しすぎだったり、後ろに倒れすぎたりしていると、馬の脚に対する反応が鈍くなったり、歩度が落ちてしまったりしますが、体がまっすぐの状態で脚を入れると、びっくりするほどスムーズに動いてくれます。その体の位置を感覚的に覚えましょう。安全性を確保しながら、試してくださいね。

まとめ

体のバランスに関しては、普段からしみついてしまっているクセなどもあり、矯正するのはなかなか大変です。しかも、騎乗中の姿勢を直すと言うのだから、なおさら。まずは、自分のクセを分析して、意識をすることから始めてみませんか。

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