陶壁、最後にもう一度披露 山形のホテル、建て替え前に15年ぶり

15年ぶりに姿を現したロビーの陶壁=山形市・ホテルキャッスル

 現在の建物での営業を12月末で終え、建て替えが予定されている山形市のホテルキャッスルで、ロビーの陶壁が再度見られるようになっている。1981(昭和56)年の開業時から、改装するまで27年間、親しまれた壁で、元東北芸術工科大学長の故会田雄亮さんの作品。改装に伴い鏡で覆われていた。大島一雄総支配人は「最後に多くの人に見てもらいたい」と話している。

 陶壁はホテルのオープンに合わせて設置された。縦3.2メートル、横8.8メートルで、凹凸のある立体的な作りとなっている。曲線や直線で表現された存在感のある作品で、2008年の館内リニューアルで、鏡の壁で覆われたが、「もう一度陶壁を見たい」との利用客の要望を受け、42年間の感謝企画として今年7月から鏡を取り払い、15年ぶりに姿を現した。

 作者の会田さんは、戦時中に両親の故郷山形市に疎開した。芸工大では美術科教授のほか、1998~2002年に学長を務めた。山形市の霞城セントラル前広場のモニュメント「虹の防人(さきもり)」や山形市役所の陶壁をはじめ、全国各地のモニュメントなどを制作した。

 大島総支配人は「再度お披露目することができ、懐かしいという声をいただいている。多くの人に立ち寄ってほしい」と話している。

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