ばかなことを…母らが5歳を死亡させる 投げ倒し埋めて反省 法廷で泣く母「逃げたら裏切ったと思われる」

さいたま地裁=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 昨年1月、埼玉県本庄市の住宅で当時5歳の男児を暴行し死亡させたなどとして、傷害致死や死体遺棄などの罪に問われた母親(31)と同居人の男(36)の裁判員裁判の被告人質問が29日、さいたま地裁で開かれ、母親は長男の死に「なんてばかなことをしたのだろうと反省している。自分が弱かった」と涙ながらに後悔の言葉を述べた。

 質問の多くは、なぜ母親が同居人の男と女=傷害致死などで起訴=と共に暴行に加担したのかという疑問が占めた。男からの「しつけ」と称した暴行の指示について、長男のために逆らったり、男らの住宅から逃げて行政などを頼らなかった理由を聞かれると「他に身寄りがなく、逃げ出したら裏切られたと捉えられるかもしれないと思った。今思えば後悔している」と答えた。裁判員からは「母としての意思を男らに預けてしまっていたのでは」との指摘も。母親はしばらく沈黙した後で「母として子どもを守る立場なのに守ることができなかった」と重い口調で語った。

 起訴状などによると、両被告は男と共謀の上、昨年1月18日、本庄市内の住宅内で母親の長男に投げ倒すなどの暴行を加え死亡させ、翌19日に住宅の床下に穴を掘り遺体を埋め、男は2021年2月28日、同住宅で別の男児に対して暴行を加えたなどとしている。

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