「芸舞妓と遊べるのはここ」 京の花街に増える「お茶屋風」の店と表示板で線引き

宮川町お茶屋組合の「組合員之証」(京都市東山区)

 花街・宮川町(京都市東山区)で、組合加盟の「お茶屋」であることを示す表示板が、全28軒に取り付けられた。芸舞妓と関わりのないお茶屋風の店などが増えていることから、従来のお茶屋遊びを楽しめる店を明示することで、利用者の安心感や特別感の演出に努める。

 宮川町は近世に発祥した花街をルーツとし、鴨川の東側にある宮川町通の松原通―団栗通一帯に、お茶屋や置屋(おきや)が立ち並ぶ。

 表示板は「宮川町お茶屋組合 組合員之証」と記された縦18センチ横7センチのステンレス製。加盟全店の玄関先で8月初旬に取り付けられた。作業を見守った舞妓のふく美代さん(17)は「組合のお茶屋さんこそ、私たちが最も気持ちよく仕事できる場所です。お客さんも安心して楽しめると思う」と話した。

 かつて宮川町にはお茶屋などが270軒(1953年)あったが、現在は10分の1ほどになった。京都市が指定する「祇園町南歴史的景観保全修景地区」だが、インバウンド需要を受け、海外資本を含め地元と関係の乏しい業者が空き店舗や空き地を取得する動きもある。

 最近では見た目はお茶屋風ながらも、一般的な飲食店や単なるゲストハウスもあり、宮川町では「花街の風情や習わしを損ないかねない事業者の参入に歯止めをかけたり、来客の誤解を防いだりする工夫がいる」との声が高まっていたという。

 宮川町お茶屋組合の宮田英喜常務理事は「しきたりを理解せず、ビジネス目的だけで進出する業者とはっきり線引きを設けたい。伝統的なお茶屋遊びを守る努力を続けたい」と話している。

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