元自衛官のタレント、かざりが新たな挑戦をスタートする。初の個展「記憶と情報の琥珀（こはく）たち」（２４年２月２～７日、東京・新宿眼科画廊）の開催が決定。現代アート作品を展示する。「私は、自衛隊も、コミケも、コスプレ、ポップカルチャー、現代アートも大好きです。公表していなかったのですが、実はアートの制作も行っていました」と目を輝かせた。
三重出身のかざりは日本大学芸術学部卒業後、陸上自衛隊で勤務。股関節の病気が理由で退職後、２０１７年からタレント活動を開始。公式YouTubeチャンネルは３３万人超の登録者数を誇り、「自衛隊体操」を扱った動画は６００万回再生をマーク。学生時代からコミケに参加するなどサブカルへの造詣も深い。
高学歴芸人と同様に、元自衛官の肩書も珍しくなくなりつつある芸能界。その中でも、かざりは〝自衛隊愛〟は相当なものだ。
「自衛隊愛は戦略的なものではありません。自衛隊に入隊したきっかけは、学生時代『ガールズ&パンツァー』というアニメにはまり、実際の戦車を見てみたいと思い陸上自衛隊の駐屯地に遊びに行ったことでした。そこで対応してくださった自衛官のみなさんがとても親切でかっこよくて、自分もこんな自衛官になりたいと思い、入隊を決意しました。元々は定年まで働くつもりで入隊したのですが、大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうえししょう)という病気になり、退職しました。退職してからも、自衛隊が好きだったため、自衛隊の魅力を何かしらの形で発信したいと思い、現在の活動を始めました」
YouTube動画では自衛隊基地の内部を紹介し、F-15戦闘機に乗るなど貴重な動画を配信。公式の広報イベント出演も積極的に取り組んだ結果、今年７月には防衛省広報アドバイザーに就任した。自衛官時代の先輩、同期からは「おめでとう！」と祝福が寄せられたという。
「とても嬉しかったです。自衛隊にいた期間が短く、また部隊の役に立てずに退職してしまったことが心残りだったのですが、そう言って応援してくださる自衛官のみなさんに、何かしら恩返しができるように頑張りたいと思いました。自衛隊の撮影取材はもちろん、今後は航空祭や駐屯地祭などのイベントにも積極的に参加できればと思います。自分の活動が、自衛隊に興味を持ってもらえるきっかけになれば、それだけでとても嬉しいです」
自衛隊に関心を持つきっかけがアニメ「ガールズ&パンツァー」だったように、そのサブカル愛も健在だ。８月１２、１３日に東京ビッグサイトで開催された世界最大の同人誌即売会「コミックマーケット１０２」では、初日はコスプレを披露、２日目は自作の写真集を頒布した。
「今回は初めて、３冊写真集を作りました。毎回こだわって、全て私が衣装を選び、デザイン、レタッチ、入稿しました。大学でグラフィックデザインを専攻していたので、写真集を作るのは毎回楽しいです！『Secret Bunny!』は迷彩柄のバニー衣装と黒いドレスなのですが、セクシーになりすぎないように〝かっこいい〟を意識して作りました。『君と咲く花』は、大学時代の友人の女性カメラマンに撮影してもらったポートレート写真集です。彼女とロケ地や衣装を模索しながら作りました。花と光をテーマにした儚げな写真集です。『軍服彼女』は、実際の軍服を着ている訳ではなく、軍服ロリータやちょっとミリタリーなテイストが入ったお洋服を着て撮影した写真集です」
コスプレは〝サイバーメイド〟をモチーフに、その魅力を自ら体現。「普段はお仕事で迷彩やOD(オリーブドラブ)の緑色の衣装を着る機会が多いのですが、今回はメイドさんのコスプレをしよう！と思い衣装を決めました。元々SFやサイバーパンクが好きなので、そういった要素を取り入れたメイドさんのコスプレをしました。モデルガンも、グローブも、衣装に合わせてサイバーなものを合わせました。表情も、ちょっとアンドロイドっぽく無表情なものを意識しました」と振り返った。そして「コミケは、参加者とスタッフの全員で作る、『好きなことを追求する自己表現の場』だと思います。参加者の一人として行くことが毎年楽しみです」と、思い入れを口にした。
タレント活動にYouTube、自衛隊、雑誌等のミリタリー関係、キャンプ等のアウトドア、コスプレに同人誌、そして現代アート。どのジャンルからも本気度が伝わってくる。「好きなものが本当にたくさんあって、それ全てに全力で取り組みたいと思っているので正直身体と時間が足りない！と思うこともあるのですが、今後も自分の『好き』を追求し、発信し、自分自身成長できればと思います」。さらなる進化を貪欲に求め続ける
（よろず～ニュース・山本 鋼平）
