鎌倉の投資家が語るVC投資の意義と出口戦略 ストライク主催イベント

「Conference of S venture Lab.」参加者

ストライク<6196>は8月28日、スタートアップと事業会社の提携促進を目的とした交流イベント「Conference of S venture Lab.」を神奈川県鎌倉市で開催した。ゲストに鎌倉投信の鎌田恭幸社長、Headline Asiaの川村達也バイス・プレジデント(VP)を迎えて「鎌倉の投資家から見た、スタートアップ投資の意義と実際。」をテーマにトークセッションが行われた。

イベントは鎌倉市長の松尾崇氏によるビデオレターからスタート。松尾氏は「鎌倉市商工業振興計画(働くまち推進計画)」について触れ、"働くまち鎌倉"の実現に向けて、起業家の育成や支援制度など働くための環境整備に取り組んでいるとアピールし、今回のイベントを通じて「鎌倉に魅力を感じてもらうきっかけになれば」と期待を寄せた。

続くトークセッションでは、鎌倉を拠点にシードからレイターまで投資対象するスタートアップ支援ファンド「創発の莟」を運営する鎌田氏、シードに特化したファンド「LAUNCHPAD FUND」を運営し、鎌倉に長年住む川村氏が登壇。モデレーターは元フューチャーベンチャーキャピタル代表の松本直人氏が務めた。

左から松本直人氏、川村達也氏、鎌田恭幸氏

VC投資の魅力とは

VC投資の醍醐味について話が及ぶと、川村氏は自らを「お金の交通整理役」としたうえで、「自分たちが信じて、"ここに流したい"と思うところに投資してお金の流れを作っていける」と魅力を語った。また、鎌田氏は「多くを巻き込んで社会の仕組みを変えていく。そうした会社が出てくること自体が楽しみであり、チャレンジする人たちに出会い、応援できることに醍醐味がある」と述べた。


力の結集が成功の秘訣

「100年継続企業を創る」をミッションとし、経営もサポートするハンズオン型のVCとして16社に投資している「創発の莟」。サポートの重要性について聞かれた鎌田氏は機関投資家の目線では新規上場(IPO)がゴールになるが、「上場後もミッション、ビジョンを発信していくことを応援することが大切」と述べる。VCの立場から、上場企業や自治体、大学など自分たちの持つネットワークを活用してもらい、オープンイノベーション型で各社の力を結集させることで、成功の可能性も高まるとみている。

一方、川村氏は運営するVCの特徴について聞かれると、アジアまで広く投資対象を見ているとしたほか、案件発掘のために独自のシステムへ投資していることを明かした。システムを活用し、365日24時間、接触すべきスタートアップをレコメンドしてくれる態勢を構築、案件の半分はこのシステムから生まれているという。グローバルに情報を探しだす能力の高さから期待感は高く、少人数で確度の高い投資を可能にするとみている。

多様性が求められる出口戦略

最後にVC投資における出口戦略について、鎌田氏は、多様なEXITが必要だと強調した。IPOばかりに目が行くが、成長のスピードとそれを遂げるタイミングなどが考慮され、別の手段として、M&Aやバイアウトなど多様な手口が必要だと説く。川村氏は投資先だけでなく、既存の出資者ともコミュニケーションを欠かさず、常にどこがいくらなら引き取る意思があるのかを常に探り、把握しておくことが大切と述べた。

多くの参加者でにぎわった

イベント後半では、鎌倉に拠点を持つスタートアップ5社、VIE STYLEの今村泰彦代表、HARAPPAの塚越暁代表、グローバルエナジーハーベストの速水浩平代表、Carstayの宮下晃樹代表、inahoの菱木豊代表がピッチ(短時間プレゼンテーション)登壇した。

次回は9月27日に東京都で開催される。

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