原爆投下から78年、人類は核とどう向き合うべきか…被爆者や広島市民の声を堀潤が取材

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。8月7日(月)放送の「New global」のコーナーでは、“核との向き合い方”について取り上げました。

◆無関心でいてほしくない、傍観者でいてほしくない…

第二次世界大戦中の1941年7月、イギリス政府が原子力の軍事利用を検討する目的で設けた「モード委員会」は、原爆の製造が可能と報告しました。そして翌年、極秘の原爆製造プロジェクト「マンハッタン計画」がスタートし、3年の年月と20億ドルをかけて原爆が完成。

その後、原爆は日本の広島、そして長崎へと投下され、それから78年。2023年の段階で各国が保有する核兵器の数は合計1万発以上あります。その一方で、原子力発電はいまや世界のエネルギー源の一部となっているなか、果たして原子力・核と人類はどのように接するべきなのか。

8月6日の「広島平和記念日」に広島平和記念公園に訪れていた方々にキャスターの堀潤が取材しました。

まず、被爆者の女性は「もっと人間は欲望を抑えていく生活にしていかないと地球が破滅すると思います」と危機感を募らせ、その上で「みんな無関心でいてほしくない、傍観者でいてほしくない」と訴えます。そして、「みんな人々が、世界が亡くなった命が叫んでいるんだよということを受け止めてほしい」と切望。

広島市民の男性からは「やっぱり良識ある対応というか、先進科学は基本的には平和利用が中心で、人類の進歩に不可欠だと思っています」といった声が。

また、同園を訪れていた人たちからは「それこそSNSと一緒で使い方を間違ったらすごいことになると思うけど、一概に悪いとはいえない。そこはうまく付き合っていくべきなのかなと思う」、「良いほうに使ってもらえればと思うが、なかなか難しいところ」、「(原子力発電を)ダメと言いながらも私たちは今、それを利用して生きていて、早急には何か新しい形を見つけないといけないのはみんな重々わかっていると思うので、自分たちに今、何ができるかを探している最中」といった声が寄せられました。

取材先で聞いたさまざまな意見のなかでも、堀は特に被爆者女性の「無関心でいてほしくない、傍観者でいてほしくない」との言葉に思いを馳せつつ、日本は原爆と原発事故、2つの災禍を経験した唯一の国ながら核との寄り添い方については「はっきりとした答えを私たちが導き出せているかといえば、そうではない」と苦慮。

キャスターの田中陽南が「8月6日に広島に来ていた方というのは傍観者でなくあろうと思っている方々ばかりだと思う。海外に目を向けたときに、どれだけ原爆を見てもらっているのか、どんなふうに捉えられているのか気になる」と率直な感想を語ると、堀は大きく頷きます。

気象予報士でフリーキャスターの根本美緒さんは、当事者意識という意味では「自分は今まで何をしてきたのかとすごく考えるし、すごく反省する」と悔やみつつ、「唯一の被爆国であり、アメリカの核の傘下にいる国、日本人のひとりであることを意識し、私たちが何を訴えていかないといけないのか、もう一度見直すべき」と主張。「やはり私は日本国民として、核廃絶を訴えて生き続けることが大事だと思う」と話します。

一方、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは「核の問題は賛成・反対など安易のラベリングはあまり意味がないと思う」と私見を述べ、「例えば、核抑止論者という人たちがいたとして、その人たちが核兵器に賛成しているかというと、必ずしも全員がそうではないと思う。戦争を防ぐためになど何かしら共通項を見出すことができるはず。その共通項から議論を進めていくべき」と今後の展望について言及。さらに「安全保障は矛盾をいかに受け入れるかも問われている。そういった幅広い視点を持った議論が進んでいけば」と望んでいました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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