超高齢化社会・認知症対応研究は重要課題と文相

 永岡桂子文部科学大臣は29日の記者会見で「我が国は超高齢化社会を迎える」として「認知症に関する脳神経疾患に関する治療薬の研究は文科省にとっても重要な課題と思っている。関係省庁と連携しながら脳神経疾患・精神疾患の克服に向けて脳神経研究をしっかり推進していきたい」と語った。

 認知症など脳神経疾患の発症・進行の抑制・治療方法の開発については関係省庁と連携して政府全体として取組んでいる。25日に内閣府の取りまとめの下で『認知症・脳神経疾患研究開発イニシアティブ』が公表された。文科省としてはこれらも踏まえ、来年度の概算予算要求で認知症の治療等に資する脳科学研究の推進に必要な経費をしっかりと盛り込む。具体的な内容を検討している」とした。

 認知症を巡っては東大高齢者社会総合研究機構と大阪府羽曳野市が共同して「AIを用いた健診データによる認知機能の低下や認知症リスク評価、予防に関する研究」に取組むため、30日、協定を締結した。

 羽曳野市は個人の特定ができない状態にしたうえで、約5000人の健診データ10年分を研究機構に提供。研究機構は認知機能の低下(フレイル)や認知症の早期発見、予防方法について研究開発に取組む。

 AI解析法は研究機構特任研究員で医学博士の酒谷薫氏が開発した「AICОG」でAIを用いて健診データを解析し、栄養障害・貧血などの全身性代謝障害と認知機能や脳の萎縮度を推定し認知症発症リスクを定量的に評価する。

 今回の研究開発により、市民の認知症リスク把握や予防的視点での保健事業の展開、生活習慣病予防だけでなく認知症予防としての取組みも可能で、市民が受診する契機になることが期待されている。(編集担当:森高龍二)

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