「野菜の日」制定40年、サラダ人気拡大 生鮮品加工品→「消費の形」多様化

簡便化、健康志向高まる

8月31日が「野菜の日」に制定され、今年で40年。生活習慣の変化に伴い、生鮮品の購入から加工品へ、消費の形が多様化した。簡便化志向は年々高まり、新型コロナウイルス下で健康ニーズも一層高まった。時間をかけずに効率よく栄養が取れるサラダの消費が伸長。トマトをはじめ、人気の品目にも傾向が反映されている。

日本人の野菜摂取量は減っている。農水省によると2022年度の1人当たりの年間供給量は88キロと、40年で2割減った。厚生労働省は、1日の野菜摂取目標を「350グラム以上」としているが、成人で約70グラム足りていない。

一方、総務省「家計調査」によると、22年の生鮮野菜の1世帯当たりの支出額(2人以上の世帯)は2000年比で5%増と小幅に増えている。数量は伸び悩むが、単価が上昇した品目が増えた影響とみられる。

時代とともに食習慣は変化した。顕著なのが中食の伸びで、調理食品の1世帯当たりの支出額は、22年が14万5163円。2000年比で5割増え、コロナ禍から回復途上にある外食の14万7655円に並ぶ勢いだ。

調理食品の内訳を見るとサラダが22年は5895円と2000年比で倍増。コロナ下で高まった健康ニーズや内食需要もつかみ、漸減する漬物に肉薄する。簡便化志向から、袋を開けてすぐに食べられるパッケージサラダなど、効率よく栄養を摂取できるカット野菜市場が拡大を続ける。

1世帯当たりの野菜支出(22年)を品目別にみると、トマトが他と大きく差をつけて1位となった。7919円と00年比で3割近く増え、過去5年間は8000円前後を保つ。サラダ商材に欠かせず健康ニーズにも応え、人気は盤石。近年は「機能性食品」の商品も増えてきた。

サラダ消費の増加を背景に、定番商材のキャベツとレタスは支出額が30%、12%増え、上位につけた。一方、漬物の主要品目であるナスとダイコンが2割近く減少。生産減少も背景に、購入数量は3、4割減と大きく減らした。

近年話題の糖質制限など、健康ニーズに合致したのがブロッコリー。支出額は6割も増え、主要品目を抜いて上位10品目に入った。購入数量も5割増と、伸びが顕著だ。

同じ系統の商材の、多様化もうかがえる。支出額が25%減ったホウレンソウは、小松菜や水菜、チンゲンサイなど多様な葉物類と消費を分け合っているとみられる。 (橋本陽平)

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