首相、水産業支援策を午後発表 「輸入規制撤廃を」豊洲視察

豊洲市場で「常磐もの」を扱う仲卸店を視察する岸田首相(中央)=31日午前8時45分、東京都江東区(代表撮影)

 岸田文雄首相は31日、東京都江東区の豊洲市場を視察し、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出の影響を巡り水産仲卸業者らと意見交換した。午後に水産事業者への支援策を発表する方針だ。視察後、官邸で記者団に「水産事業者に寄り添った対応策を取りまとめる」と表明。中国による日本水産物の輸入全面停止を念頭に「科学的根拠のない輸入規制について撤廃を強く働きかけたい」と強調した。処理水放出が始まってから31日で1週間となった。

 首相は、豊洲市場視察に関し「輸出先の転換などの販路拡大に向けた支援や、中国との政府間協議に取り組んでほしいという意見をもらった」と説明した。中国や香港にホタテやマグロを輸出する仲卸店を訪れ、経営者から現状を聞き取った。

 業者側からは、香港との取引が約9割落ち込んだという声や、政府主導で欧州連合(EU)向けの輸出基準緩和に関する交渉をしてほしいとの指摘が出た。首相は「わが国の水産業を守るという強い決意を持って対応しなければならない」と語った。視察中、タコを振る舞われる場面もあった。

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