「鬼滅の刃」「SPY×FAMILY」などのビッグネームに新たなライバルが登場? 2022夏-23春アニメランキング大発表!

【推しの子】/TVガイド A Stars vol.2

今回のテーマは「大人アニメ」。この連載では毎年夏のこの時期に、関東114万台を超えるレグザの最新視聴データを基にした大人アニメの年間視聴動向を紹介・検証しているが、果たして2022年夏~23年春にかけての動きはどうだったのか? 超人気アニメの新シリーズがこれでもかと放送される一方で、新たな人気作も続々登場。今年もワクワクするランキングになった。

今回は、クールごとに見ていこう。まずは22年夏クール。TVガイドWebで毎週紹介している「地上波録画視聴ランキング」の数値を基に、7~9月に放送された「大人アニメ」から、録画視聴された回数の多い順に並べた「大人アニメ夏クール 放送回ランキングベスト20」と、作品ごとに、期間内の録画視聴ポイントの平均値が高い順に並べた「大人アニメ夏クール 平均値ランキングベスト10」である。ポイントは1位を100とした場合の割合だ(以下同。なお、大人アニメの定義は、レグザ「みるコレ」サービスで分類されている「大人アニメリスト」を参考にしている)。

22年4月から放送していたNHK総合の「キングダム(第4シリーズ)」が、夏クールを完全制覇した。前半にあたる春クールでは、規格外の成功作となった「SPY×FAMILY(シーズン1・第1クール)」の陰に隠れる格好となったが、目立ったライバルが不在だった夏クールでは順当に強さを見せた。「キングダム」以外は混戦だが、平均値2位に入ったのは、土曜夕方にNHK Eテレで放送されていた「アオアシ」(これも4月スタートの2クール目)。NHK放送のアニメはやはり、だてではない。3位以降はTOKYO MXの“異世界” “なろう系”アニメがずらりと並ぶ結果となった。

続く22年秋クールは人気作や話題作がめじろ押しで、この1年の中では最も血湧き肉躍るクールになった。そんな中、放送回ランキングの上位は「SPY×FAMILY」と「チェンソーマン」の2作品で占められた。特に「SPY×FAMILY」の人気は桁外れで、シーズン1・第1クールから3カ月のインターバルを置いて始まった第2クールも、非常に高いポイントで推移した。現在最も安定した人気を誇るアニメの一つと言ってよく、今後の展開にも期待がかかる(シーズン2は23年10月スタート予定で、12月には、オリジナル脚本での劇場映画も控えている)。

そして2位に入ったのが、「少年ジャンプ+」(集英社)が生んだ衝撃のヒーロー「チェンソーマン」。原作のダイナミズムをより増幅させたアニメ化は大きな衝撃を与え、米津玄師&常田大希によるオープニング・テーマや週替わりのエンディング・テーマも話題を呼んだ。

そして、このクールは「機動戦士ガンダム 水星の魔女」だけでなく、「BLEACH 千年血戦篇」「うる星やつら」など、往年の人気アニメシリーズが久々の復活を果たしたことでも注目された。だが、TBS夕方枠の「ガンダム」シリーズが、深夜枠の「チェンソーマン」に負けたというのは衝撃的だ。録画視聴の数字では、「ガンダム」「BLEACH」がまずまずのポイントを残したが、「うる星やつら」は少々尻すぼみに終わった感がある。

東京リベンジャーズ/TVガイド A Stars vol.1

続いて23年の冬クール。約2年ぶりの第2期放送となった「東京リベンジャーズ 聖夜決戦編」が上位を占めた。第2期終了後にはすかさず実写映画が連続公開されるなど、メディアミックス戦略にも抜け目がない。23年の10月からは「天竺編」のアニメ化が発表されている。また、放送回ランキングにおいて、テレビ朝日のブルーロック以外、すべてテレビ東京で占められているのも特徴的だ。

そして注目は平均値ランキングで2位に入った「とんでもスキルで異世界放浪メシ」。「チェンソーマン」の後番組としてMAPPAが単独制作した作品。実在のサービスや商品が登場するプロダクトプレースメントも話題を呼んだ。何しろ主人公のスキルが“ネットスーパー(で買い物できる)”なので、プロダクトプレースメントとの相性が抜群である。

記憶に新しい23年春クールは、言わずと知れた令和のモンスターアニメ「鬼滅の刃」待望の新作「刀鍛冶の里編」が超ド級のポイントをゲットして上位に君臨。破格の強さを見せた。クオリティーの高さも相変わらずで、ファンの満足度も高い。続編のアニメ化も発表済みで、おそらく今後も長い間アニメ産業の中心的な役割をになっていくだろう。圧倒的なチャンピオンの前に混戦となった2位争いだが、「機動戦士ガンダム 水星の魔女 Season2」をわずかに抑えてTOKYO MXの「推しの子」が2位となった。1話目のクオリティー、展開が話題を呼び、YOASOBIの主題歌がストリーミング配信で首位を独占したことも記憶に新しい。TOKYO MXのアニメとしては非常に高いレベルのポイントである。

最後に、年間を通しての大人アニメ平均値ランキング ベスト10を見てみよう。

年間を通して、安定感のあるシリーズ作品が全体の流れを形成しつつ、新たな話題作が次の潮流を作っていくという動きが見えてくる。夜11時台アニメという新たなヒットパターンを生んだ「鬼滅の刃」と「SPY×FAMILY」の突出が光るが、名だたるシリーズ作品に交ざってランキングに食い込んだ「チェンソーマン」と「推しの子」の台頭には、やはりワクワクさせられる。

7月からは「呪術廻戦」の第2期がスタートするなど、新たな動きもすでに始まっている。ヒットアニメの続編は今後も続々と登場して私たちを楽しませてくれるはずだが、一方でそうした流れの中どんな新作たちが新たな風を吹かせてくれるのかにも、とても心引かれる。今後も興味深く見守っていきたいと思う。

文/武内朗
提供/TVS REGZA株式会社

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