【台風情報】台風12号進路予想 なぜさほど発達しないで北上? 海面水温が高くても台風が発達しないワケ 

台風12号は日本へ北上予想 さほど発達しない理由は

30日夜に発生した台風12号。進路予想をみると日本の南へと北上する予想です。一方で、勢力はさほど発達しない見込みで、1日のピーク時でも中心気圧は990hPa、中心付近の最大風速は30m/sで一時的に暴風域を伴いますが、その後、それ以上に発達することはありません。9月4日に西日本の沖合に達した頃には熱帯低気圧へと変わるとみられています。

よく天気予報で台風情報を伝える時に、台風が発達する条件として「海面水温が高い」という理由で説明されることがあります。

台風の発生は海面水温が27℃程度以上で活発になるとされているためです。台風が発達に必要なエネルギー源は海からのエネルギーで、水蒸気が上昇して水滴になる(凝結)時に出す潜熱です。

現在、日本周辺の海面水温をみると東北周辺まで広く27℃以上となっていて、日本の南岸のすぐ近くまで30℃に近いエリアも見ることができます。

それでも台風12号はさほど発達しない予想となっているのはなぜなのでしょうか。

台風の発達は海面水温だけでは決まらない

台風が発達するかどうかは海面水温だけで決まるわけではありません。台風の発達を妨げる条件としては以下のようなものがあります。

▶鉛直シアが大きい(=高度によって風の向きや強さの違いが大きい) ▶かなり上空(高度15km前後)に暖かい空気が存在する ▶台風自身の壁雲の入れ替わり

30日午後9時の高層天気図(上空9700m付近・上空5800m付近)です。台風12号の北側には、上層に寒気を伴った「上層寒冷低気圧」と呼ばれる低気圧があり、台風の進路に先行して西へと向かっていることがわかります。

この低気圧周辺の風によって台風12号周辺の風の流れが乱されることで、海面付近と上空との風の向きや強さの違いが生まれて、鉛直シアが大きくなります。

鉛直シアが大きくなると台風の下層から上層までの対称的な形を崩してしまい台風の渦が弱まることで発達が抑えれます。

この上層寒冷低気圧は、今後も台風12号が進むと予想される進路周辺で影響し続けるとみられるため、12号はそんなに発達できない理由の一つとなっている可能性があります。

また、はじめの方で、日本の南の海上では広く海面水温が高いと説明しましたが、一方で、水深50mの水温を見てみると、沖縄周辺などと比べると日本の南東方向の海域はそこまで水温が高くありません。

このあたりも日本の南東方向から北上してくる台風がそれほど発達しないことに影響している可能性があります。

一方、台風9号は猛烈な勢力となって台湾の南の海上を進みましたが、クッキリとした台風の目を中心として回転している様子がわかります。

今回の台風12号はさほど発達しないで日本に接近する予想ですが。ただ、南の海上から暖かく湿った空気をもたらします。雨の降り方には注意がいるようになるかもしれないので油断はせずに今後の情報をご確認ください。

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