塵に隠された“さいだん座”の原子星周辺 ハッブル宇宙望遠鏡で撮影

こちらは「さいだん座」(祭壇座)の方向約8900光年先の原始星「OH 339.88-1.26」周辺の様子です。OH 339.88-1.26そのものは画像中央の暗い雲に隠されていて見えませんが、満月の視直径の約14分の1四方という視野のなかで明るく輝く数百個の星々や、背景に広がる塵の雲が赤外線の波長で捉えられています。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラ3(WFC3)で撮影された原始星「OH 339.88-1.26」周辺(Credit: ESA/Hubble & NASA, J. Tan)】

この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope:HST)」の「広視野カメラ3(WFC3)」で取得したデータ(赤外線のフィルターを使用)をもとに作成されました。赤外線は人の目で捉えることができないので、画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています(※)。

※…この画像では1.1μmを青、1.28μmをシアン、1.6μmをオレンジ、1.64μmを赤で着色しています。

欧州宇宙機関(ESA)によると、ハッブル宇宙望遠鏡によるOH 339.88-1.26の観測は、大質量星が形成される領域中心の内部を覗き込んで質量が大きな原始星の性質を制約し、その形成に関する理論を検証するための観測の一環として2016年1月に実施されました。この取り組みでは5つの原始星がWFC3を使って赤外線の波長で観測されています。ハッブル宇宙望遠鏡の観測はチリの電波望遠鏡群「アルマ望遠鏡(ALMA)」がサポートした他に、2022年に運用を終えたボーイング747改造の成層圏赤外線天文台「SOFIA(ソフィア)」からもさらなる観測データが提供されたということです。

冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の“今週の画像”として、ESAから2023年8月28日付で公開されています。

Source

  • Image Credit: ESA/Hubble & NASA, J. Tan
  • ESA/Hubble \- Stellar cradle

文/sorae編集部

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