香川県がネット・ゲーム依存対策の講演会 ゲーム条例施行後4回目の開催で変化も

インターネットやゲームの依存についての知識を深めてもらおうと香川県が講演会を開きました。いわゆる「ゲーム条例」に基づいて毎年行っているもので、2023年は4回目。これまでの3回とは少し「変化」もみられました。

(三光病院/海野順 院長)
「香川県でゲーム条例ができてゲームが悪者かという反発があったり、そもそも依存症になるのが悪いことという大前提の意見があったりするんですけど、依存症になってる人を見たら困った子だとか困った人だではなくて、実際その人たちが『困っている人、困っている子どもたちなんだ』ととらえてほしいんですよね」

講演したのは、ネットやゲーム依存の専門外来を設けている高松市の三光病院の海野順院長です。

海野さんはネットやゲーム依存の一番の予防策は「ルールづくり」だとし、子どもののめり込みやすさやひとりで家にいる長さなど、性格や家庭環境などを踏まえたルールにすべきだと訴えました。

(三光病院/海野順 院長)
「香川県の条例は(1日の使用時間の目安)平日60分、休日90分っていうところばかりがクローズアップされてしまったので、これが独り歩きしたらいかんなと思うんですけど。別に60分、90分だから提案どおりで一番理想的なルールとは限らないと思います」

4回目となる今回は「乳幼児、小学生の子どもがいる家族」をターゲットとして明確に打ち出し、初めて託児サービスも行いました。

オンラインで行った年も含め、過去3回は専門が異なる2人ずつが講演していましたが、今回は海野さん1人のみでした。その分、参加者からの質問タイムを多くとり、保護者が抱える不安や悩みの解消につなげるのが狙いです。

(参加した保護者からの質問)
「(スマホを)最初に持たせたときにルール作るのを忘れたなとか、最初の一瞬を逃してしまった家庭の場合後からルールを作るきっかけ(が分からない)」
「(子どもが)ゲームより楽しいことを見つけられずにいる状態がもしかしたらゲームの依存症なのかなと私が考えて……」

ところで海野さんは、2020年の第1回の講演会でも講師を務めたほか、三光病院は2023年3月に行われた医療、教育関係者向けの研修会や、小中学生が一定期間ネット環境から離れて生活習慣を見直す「オフラインキャンプ」の運営も2022年度から県の委託を受けています。

記者「ちょっと香川県のネット・ゲーム依存対策が『海野さん頼み』になりすぎかなという印象があるんですが」
(香川県子ども政策課/石井一暢 課長)
「そこは……どうなんでしょう。やはり一般の方にできるだけ分かりやすく伝えていただくためには、本当に中心的に活動をしていただいている先生にご説明いただくのがいい方法だと考えておりますので」

ネットやゲームの依存についてはそれが「病気」と言えるかやどんな治療、予防法が適切なのかは研究の途上で、国の関係省庁の担当者らが勉強会を開いたり業界団体が全国調査を行ったりしています。

香川県でもこうした最新の知見を得て対策をアップデートする考えについては……。

(香川県子ども政策課/石井一暢 課長)
「まぁそういうふうな点も今後また検討させていただこうとは思いますけれども、今年度につきましては海野先生に改めて分かりやすく説明していただくという趣旨で開催をいたしました」

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