「なんとか味は変えずにおいしさを届けたいが…」ふるさと納税返礼品で人気のネギトロにも影響 止まらぬ値上げの波

9月1日から調味料や加工食品など2067品目が値上がりします。止まることのない値上げの波は、ふるさと納税の返礼品にも影響を与えています。

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2023年6月にオープンしたばかりの新鮮な魚介が楽しめる静岡県焼津市の丸入商店総本店です。

「お待たせしました。極まぐろたたき丼です」

焼津港で水揚げされたマグロを使った自慢の丼ぶりは、ふわっと、とろけるような濃厚な味わいが特徴です。

この店を経営する焼津市の企業は、ふるさと納税の返礼品にもネギトロを出していますが、その維持にかかる光熱費などに頭を悩ませています。

<焼津港 丸入商店 久保真也課長>
「マイナス60度の冷蔵庫の中で、品質を維持しながら保管しているので、そこの電気代が直接かなり影響を受けている」

この会社で扱うマグロは、最も多い時期で約4,000トン。光熱費が値上がりすると維持費は膨大に。他の経費を削減することで、なんとか値段を上げないようにしています。

<焼津港 丸入商店 久保真也課長>
「ふるさと納税でたくさん買っていただいているので、何とか味は変えずにおいしさを届けたいが」

2022年、ふるさと納税の寄付額が約76億円で静岡県内トップとなった焼津市では、出品者から価格の変更に関する相談が続いています。

<焼津市ふるさと納税課 山下浩一課長>
「昨年度ぐらいから、原価、材料費などが、値上がりをしている中で、御礼品自体の値上がりの相談がある。結果として、御礼品の値段を変えたところもある」

ふるさと納税は通常、自分が住んでいる地域に納税する税金を自分が選んだ自治体に寄付をすることで返礼品をもらい、税金の控除を受けられる仕組みです。

このふるさと納税ですが、経費について厳格化される動きがあります。総務省は10月以降、これまでは経費として計上されていなかった市や町が発行する受領証の費用なども加えて、50%以内に収めるようルールを変更しました。

<焼津市ふるさと納税課 山下浩一課長>
「元々、そのような経費を含めて、5割以内に経費を組み立てているので、われわれに関しては、今回の制度の改正について、影響がないと考えている」

焼津市はルール変更の前から受領証の費用などの経費を加えていたため、影響は受けないといいますが、寄付額は約23億円、県内4位にランクインする沼津市は、これまで寄付額に経費を反映していませんでした。

<沼津市ふるさと納税推進室 三澤和也室長>
「送料など、50%を超えてしまう返礼品もあるので、きめ細かく、返礼品の割合、寄付額の割合を考えていきたい」

沼津市は今後、送料の必要がない体験型の返礼品などを充実させていく方針です。

<沼津市ふるさと納税推進室 三澤和也室長>
「沼津は、海があり、山があり、川があり、自然環境が恵まれているので、実際に来て楽しんでいただく面では、沼津の力を発揮できる」

物価高で家計が圧迫される中、上手に利用したいふるさと納税。自治体の事情や特徴を理解することで、より賢く利用することができそうです。

静岡県内のふるさと納税の経費の厳格化は10月以降となっていますが、寄付を受けた額は、年々、増加しています。2021年度は約280億円、2022年度は約329億円と1年間で、約1.2倍に増えています。

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