【台風情報】 “トリプル台風”進路予想比較 気象庁&アメリカ・ヨーロッパ 9号 “猛烈な”勢力&12号なぜ発達しない? 11号は強い勢力で沖縄付近を通過へ

トリプル台風 日米欧の進路予想比較

気象衛星をみると日本の南には3つの台風が並んでいます。左から9号、11号、12号です。9号は猛烈な勢力で南シナ海を西へ、11号は9月1日から2日にかけて沖縄地方へ接近、12号は北西へ進んで日本列島の南へと北上してくる予想です。

それぞれの台風について気象庁とアメリカ海軍、アメリカ海洋大気庁、ヨーロッパ中期予報センターの進路予想を比較してみましょう。

台風12号 日本へ北上予想も...なぜ発達せず?

気象庁

アメリカ海軍

気象庁やアメリカ海軍の予想はほぼ同じような傾向です。9月1日に発達のピークを迎えて暴風域を伴う予想になっていますが、その後は徐々に勢力を落としながら北西方向へと進む予想です。

気象庁は3日には台風から熱帯低気圧に変わると予想しています。

アメリカ海洋大気庁

ヨーロッパ中期予報センター

気象庁は熱帯低気圧に変わった後の進路予想については発表していませんが、アメリカやヨーロッパのアンサンブル予想を見ると、九州の南の海上まで進むと見られます。そのあとはラインがバラバラになっていて進路は定まっていません。アメリカやヨーロッパモデルもそんなに発達させない予想です。

台風の発生や発達は海面水温が27℃程度以上で活発になるとされています。台風が発達に必要なエネルギー源は海からのエネルギーで、水蒸気が上昇して水滴になる(凝結)時に出す潜熱です。

台風12号の北上が予想されている海域の海面水温をみると、台風の発生が活発になるとされる27℃程度以上で、30℃に迫るようなエリアも見られます。

それでもなぜ今回の台風12号は発達しないまま北上すると予想されているのでしょうか。

台風の発達は海面水温だけでは決まらない

台風12号の進路予想にあたる海域では海面水温が高い一方で、水深50mの水温を見てみると、沖縄周辺などと比べるとそこまで水温が高くない状況です。海から受け取るエネルギーが11号や9号の海域ほどは多くはないのかもしれません。

さらに台風の発達を妨げる条件としては以下のようなものがあります。

▶鉛直シアが大きい(=高度によって風の向きや強さの違いが大きい) ▶かなり上空(高度15km前後)に暖かい空気が存在する ▶台風自身の壁雲の入れ替わり

30日午後9時の高層天気図(上空9700m付近・上空5800m付近)です。台風12号の北側には、上層に寒気を伴った「上層寒冷低気圧」と呼ばれる低気圧があり、台風の進路に先行して西へと向かっていることがわかります。

この低気圧周辺の風によって台風12号周辺の風の流れが乱されることで、海面付近と上空との風の向きや強さの違いが生まれて、鉛直シアが大きくなります。

鉛直シアが大きくなると台風の下層から上層までの対称的な形を崩してしまい台風の渦が弱まることで発達が抑えれます。

この上層寒冷低気圧は、今後も台風12号が進むと予想される進路周辺で影響し続けるとみられます。

海面よりすぐ下の海水温度がそれほど高くないことや鉛直シアが大きくなっていることなどが、日本の南東方向から北上してくる台風がそれほど発達しないことに影響している可能性があります。

今回の台風12号は、さほど発達しないで日本に接近するといっても南の海上から暖かく湿った空気をもたらします。雨の降り方には注意がいるようになるかもしれないので油断はせずに今後の情報をご確認ください。

台風9号は猛烈な勢力で南シナ海へ

台風9号は31日午後6時の時点でも「猛烈な勢力」を保っています。海上にあるうちは海からのエネルギーを受けて強い勢力を維持する見込みです大陸沿岸に近づくと陸地の摩擦などの影響で徐々に勢力は衰え始めます。上陸すると一気に衰える見込みです。

気象庁

アメリカ海軍

アメリカ海洋大気庁

ヨーロッパ中期予報センター

台風11号は強い勢力で1日~2日に沖縄地方に接近へ

気象庁

アメリカ海軍

アメリカ海洋大気庁

ヨーロッパ中期予報センター

台風11号は1日~2日にかけて沖縄の先島諸島付近を通過してその後、中国大陸へと向かう見込みです。

気象庁は台風が近くを通ると予想されるエリアでは、暴風やうねりを伴う高波に厳重に警戒を呼びかけているほか、大雨にも警戒が必要です。地元の気象台などが出す情報に注意してください。

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