事業承継へ認識深める 北茨城 漁業者向けセミナー

漁業者らに事業承継に向けた準備などを説明したセミナー=北茨城市大津町

漁業者の高齢化や後継者不足を背景に、日本政策金融公庫水戸支店と大津漁協は8月31日、茨城県北茨城市大津町の同漁協事務所で組合員向けの事業承継セミナーを開いた。同組合の大中型まき網漁業者や関係機関の計約20人が参加し、事業承継へ向けた準備や支援などについて知識を深めた。

同セミナーは、円滑な事業承継のきっかけをつくるのが目的。県事業承継・引継ぎ支援センター統括責任者の山口晃男氏と、税理士の石川浩司氏が講師を務めた。

山口氏は全国での漁業就業者の減少や高齢化を挙げつつ、新規漁業就業者は2千人前後で推移し、他産業から就業する人が7割程度を占めると説明。「潜在的に就業したい若手もいる」と示した。事業承継への取り組みの遅れや、後継者への移行には時間がかかることから「問題は先送りしないで」と呼びかけた。

石川氏は事業承継時のポイントや準備について講演し、「判断力がある時に、相続人や承継する人に自分の思いを伝えるのが大事」と強調。事業承継に伴う相続税や贈与税の納税を猶予する特例措置があることにも触れた。

同漁協の鈴木徳穂組合長は「他の産業でも少子高齢化などの課題がある。どのように漁業の仕事に入ってもらえるか、考えていきたい」と話した。

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