高齢者見守りにQRコード活用 徘徊保護、家族らに連絡 茨城・龍ケ崎市など

見守り事業で活用するQRコードのシール。コールセンターの電話番号やIDが記されている=龍ケ崎市役所

QRコードとコールセンターを活用して高齢者を見守る事業が茨城県内自治体で広がっている。QRコードやIDが印刷されたシールを身に着けてもらい、保護した人がスマートフォンなどで読み取って専用のコールセンターに電話すると、家族や介護者に連絡が行く仕組みだ。行政側は実効性を高めようと周知を図る。

同県龍ケ崎市は4月1日に事業を始めた。認知症の高齢者らを念頭に置く。市の人口は約7万5千人。同日時点での高齢者は2万3126人で、認知症患者は約3800人と見積もる。

市福祉総務課によると、家族や介護者が申請し、高齢者らの名前、住所、緊急連絡先といった情報をあらかじめ登録。シールになったQRコードが後で送られてくる。シールは大中小の3サイズあり、個人ごとのIDが明記してある。衣服をはじめ、つえや靴といった所持品に貼ることを想定している。

徘徊(はいかい)する高齢者らを見つけた際、QRコードを読み取ると、コールセンターの電話番号が分かる。コールセンターを通して緊急連絡先に電話をかけてもらう流れだ。迎えに来るよう促すほか、けがをしている際など必要に応じて警察や消防にも通報するという。市では、今後も高齢者や認知症患者が増えると判断し、素早い保護に結び付けようと導入を決めた。

コールセンター運営やQRコード発行を担う緊急通報システムの「アイネット」(福島県会津若松市)によると、ほかに、かすみがうら、行方、つくばみらい、阿見の4市町が同じ事業を展開している。コールセンターは年中無休で、同社の担当者は「110番、119番通報をためらう人もいるかもしれない。こうした心理的負担を和らげられる」と利点を挙げる。

龍ケ崎市では、認知症サポーター養成講座での周知や民生委員へのチラシ配布で事業を紹介する。市の担当者は「支える側の意識や人の輪が重要」と述べ、事業の浸透に意欲を示した。

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